短編2
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小さな古時計

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今日は引っ越しの日だ、荷物を整理していた。

最後の荷物の時計を丁寧に包みながら4年前の事を思い出した。

---あの時俺は友達の朋也と伸二、香澄と一緒にバス旅行を企画していた。

旅行前日、俺は旅行の準備に追われていた。荷物の整理が終わり、時計を見ると既に時間は深夜の2時だった。

明日は8時にバスに乗る予定だ、早めに寝よう。俺は目覚まし時計を7時にセットして寝床についた。

この時計は半年前に亡くなった祖父の形見だった。おじいちゃん子だった俺は葬儀中涙が止まらなかった。そんな俺に祖母がじいちゃんが使っていたというこの時計をくれたのだった。

俺は明日の旅行に胸を躍らせながら眠りについた。

ヂリリリリリリリリ

鈍い音を立てながら目覚まし時計が鳴った。

眠たい目をこすりながら俺は目覚ましを止めた。俺は時間を見て愕然とした。

11:30....⁉︎嘘だろ⁉︎

最悪だケータイを開くと朋也からのメールが大量に届いていた。電話もかかってきていたようで留守番電話も入っていた。

「おい!もうバスが出発する時間だぞ⁉︎もう知らねぇからな俺たちバス乗るからな?」

朋也は相当怒っているらしく口調が強かった。

最悪だ....そう思いながらテレビをつけた画面にはニュースが写っていた。

俺は画面から目を離せなくなった。

「本日9:10頃、高速ツアーバス⚪︎⚪︎が車線をはみ出し対向車線の大型トラックと衝突しバスは火災、爆発が起き運転手と乗客30人全員が死亡する事故がありました」

間違えない、俺が乗るはずだったバスだ。

もし、俺が予定通りにあのバスに乗っていた...

そう思うと震えが止まらなくなった。

俺の形見の時計を見た。

ヂリリリリリリリリヂリリリリリリリリ

時計は大きな音を立てて鳴った。

そこにじいちゃんが立っているような気がした。

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