知人の女性から聞いた話。
その人の地元にはよくカップルがいちゃつくのに利用する図書館があったそうです。
中でいちゃつくのではありません。外です。図書館は両隣が原っぱになっていて、そこによくカップルが屯(たむろ)するのだそうです。
ある日、その女性(とりあえず以後Aさんとします)は彼氏と一緒にその図書館の原っぱにやって来ました。時刻は既に夕方を過ぎていました。
ぶらぶらと歩いているうちにいいムードになってきました。原っぱの奥の方まで来て、彼氏はAさんにキスを求めてきました。
二人は図書館の壁側によりました。Aさんはキスがしやすいようメガネを外して暫く彼氏といちゃついてました。Aさんは壁に背を向けて、彼氏の肩越しに原っぱを見つめていました。
…
ぼんやりとした視界の中に何かが揺らめきました。彼氏の肩越しに白い影のようなものが見えます。最初Aさんは図書館の電灯の光が何かだと思ったそうです。
しかし、その影はゆっくりとAさんたちの方へ近づいてきました。
急に不安にかられたAさんは唇を離し、彼氏に別の場所へ移動するよう言いました。しかし、彼氏はあまり乗り気ではなかったようです。
五歩くらいしか移動せず、またいちゃつきはじめました。Aさんもさっきのは何かの見間違いだろうと考え、気を取り直して彼氏とキスしていました。
すると、また白い影が彼氏の肩越しに現れました。ゆっくりとこちらに近づいてきます。
どれだけ時間が経ったのか、近眼のAさんにもその姿がはっきり見えるところまで影は迫ってきました。
それは“肩”でした。
白い肩から腕までが、ほふく前進するような仕草で、ゆっくりとAさんににじり寄ってきていました。
怖い話投稿:ホラーテラー 1969さん
作者怖話