山に囲まれた自分の地域は、他の地域へ抜ける数々の峠がある
何の変わりもない峠道だが、峠というのは必ずと言って良い程、怖い話がある
女が佇んでいた、とか
勝手に乗り込んできた、
追い掛けられた、
同じ所をグルグル回る、
と様々ある
その中で、自分達が体験?したオススメ…とは言えないが
峠で起きた怖い話
403号線
温泉や寺で有名な地域へ抜ける山道に近い峠道
廃屋があったり、外灯の無いトンネルがあったり、心霊スポットに名が上がりそうな良い雰囲気な峠がある
友人と新しい心霊スポットを見付けようと話し、ここへ行ってみる事にした
ある春先
403号線へ向け、友人は車を出した
自分、友人、と友人の彼女、この三人
お邪魔虫な自分は一人後部座席へ座り、いざ峠へ
最初は民家もあり明るいが、奥へ行くにつれ車のライトが頼りの暗い道になる
彼女
『こわぁい』
この彼女、友人は一ヶ月程度で別れたんだが、作り天然の尻軽女として有名な女だった
この日もどこでかぎつけたか、教えてない筈の自分家にいきなり来て『遊びにきちゃった』と上がり込んだ
丁度友人も部屋に来て居て、これから心霊スポットに行くって話をしてたので、嫌だったが連れて行く事にした
車内は友人の彼女の下らない話で一杯になった
自分は黙り、友人は相槌をうつ、という嫌な雰囲気全開だった
自分が煙草を吸おうとしたら
『この車は禁煙なのだ』
と言い煙草を取り上げられた
ぶん殴りたかった
自分は余り彼女の事を、良く思って無い事を友人は知っている為、仕切りにこちらの機嫌を伺い、彼女は気にせず自分の話をする
車内は心霊スポットに向かう様な雰囲気は未塵もなく、峠をひたすら走っていた
最初、廃屋が見え入ってみようと近くまで行ったが、入れる様な状態ではなく断念
自分の苛々が絶頂の頃、鉄骨のトンネルが見えてきた
『歩いて入ろう』
自分は車に居たくないのもあり、車を停めさせ懐中電灯片手に一人トンネルに入った
急勾配のクネクネ曲がるトンネル
中には花がたむけてあり、かなり怖かった
難無く登りきり、次は下り
またトンネルに入る
下りは急勾配のせいか、かなり暗く感じ鉄骨の隙間から月明かりが漏れている
誰かが立っていたり追われる想像が駆け巡り、
走り友人の待つ下へ向かった
トンネルを抜け、車に向かうといきなり友人が怒鳴った
『○○(彼女)は!?それと何連れてきた!』
背中を乱暴に叩き、自分を車に押し込んだ
何事か解らず、助手席をみると彼女がいない
友人も車に乗り込み
トンネルへ向かおうとライトをつけた時
車の目の前に泣きじゃくってる彼女がいた
『心配だったから京介の後すぐ追い掛けたけど、全然追い付けないし
トンネルは抜けないし、引き返してきたら二人共車に乗ってるし、もう最低!』
自分は一通りトンネルを通ってきたが会ったのは、た向けてあった花位で、彼女には会っていない
友人は『ごめん』と言いながら駆け寄ったが、彼女は友人を突き飛ばし
自分の座る後部へ乗り込んできた
『京介怖かったよー』
自分に抱きつこうとした彼女を無視し、助手席へ自分は乗り換えた
引き返す時、終始無言で友人は彼女を家まで送り、友人は彼女に何事か話し戻ってきた
自分は友人にキレてしまった
自分
『何であんな女と付き合ってんだ!てか俺んち教えんな!』
友人
『教えてないし、彼女いつもああなんだよ。』
自分
『あーそうかい。二度と会いたくねぇ!煙草取られたままだし、くそっ』
友人
『もう別れたから会うこと無いよ』
自分
『はっ?』
友人
『送ったついでに、別れてきた』
自分
『…まぁ…良かったわ』
友人
『お前に憑いてきてたヤツ、彼女に憑いてたけどムカついたから、ほっといたよ。悪かったな。俺の事で不快にさせちまって』
自分
『いや…まぁ…いいさ』
友人には…というか見える人には逆らわない方が良いなと思った夜
帰りコンビニに立ち寄り、友人は詫びだと、煙草を一ダース買ってくれた
その後の彼女はどうなったかは知らない
以上です
大半心霊とは異なるくだらなく長々しい話で申し訳ない
怖い話投稿:ホラーテラー 京介さん
作者怖話