休憩中に同僚とくだらない話しをしていた。超能力について。
空を飛べたら、透視能力があったら、瞬間移動ができたら、とか。
「でも、そんな大それた能力があったらモルモットにされちゃうね。」なんて言ってとりあえず話にオチをつけようとした。
しかし同僚が、「じゃあ、あまり使えない能力とかだったらいいかな?」
タバコだけは何も使わなくても火を着けられる、背中が痒くならない、その他エトセトラ。
「…そんなのシラネーヨ」とおもって鼻で笑ったら、「勘が鋭過ぎるとか」と、ちょっと真顔で俺を見てきた。
「いいんじゃない。」適当な返事をした。
「あきらはそうだよね。」
なんだ?適当な返事で怒ったのかな?と思ってると、「実はあきらの勘で一回、命拾いしてるんだよね。」
確かに、嫌な予感がよくあたる。でも、それはせいぜい、軽く怒られるとか、かすり傷をおう位の“嫌な“予感だ。しかも、自分自身にしか使えない。
「命拾いした時は、夜ドライブしてる時。雨がふってきて急いで帰ろうとした時、あきらから電話がきて、ほら、覚えてる?車止めて5分したら走っていい、とか言ったじゃない。それで5分後走りだしたんだよ。で、500メートル位した所でトラックと乗用車の事故。もうぐちゃぐちゃ。俺はビビったね。事故もそうだけど、あきらにね。」
ああ、あの時か。急にめんどくさいような、悲しいような、
…葬式にいくときのあの感じがした。俺は冠婚葬祭とかめんどくさいから出来れば行きたくない。
利害の一致で、結果同僚は命拾いした。
今俺の前で同僚が俺に感謝している。
…複雑な心境だ。
怖い話投稿:ホラーテラー あきらさん
作者怖話