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中編5
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穴場スポット

何年か前の夏、ママ友同士で海へキャンプへ行った時の話です。

「何処も混んでるネェ」

シーズンだった事もあり複数のスポットを巡りましたが中々いい場所がなく、日も暮れて来ました。

「まぁ最悪今日はバーベキューだけやって、明日遊べばいいか。」

なんて話ながら海沿いの道をドライブがてら走っていました。

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しばらく走っていると、橋がありその脇に細い道路が下に向かって伸びているのが確認できました。

「もしかしたら、下にいい場所あるかも。降りてみようよ。」

そのままウィンカーを出し、細い道路に入りました。

結構な坂で、先には砂浜と海が見えます。

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おりていくと右は崖(崖の上は先ほど走っていた橋へ続く道路)左は海、奥には古びた小屋があり、入り口は今通った細い道路のみでちょっとしたプライベートビーチのようになっていたのを覚えています。

また、私達の他には誰もおらず

「おぉー!これって穴場スポットって奴じゃない?」

と皆テンションが上がっていました。

と、その時

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shake

ガガガガガガガガガガ!!!

何か車にぶつかったような音がしました。

慌てて車から降りて確認すると、周りにはコンビニなどで使うビニール袋に石が大量に詰まったものが幾つも散乱していました。

「なにこれ?」

「さぁ?いたずらかねぇ」

「あぁ〜、、、。最悪。ちょっと車傷ついたし」

改めて辺りを見回すと同じ様な物が幾つも落ちていました。

私達は長時間のドライブで疲れていたこともあり、変なビニール袋が散乱している以外は環境もよかったのでそこでキャンプをすることに決めました。

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そしてバーベキューを楽しみ、日が暮れ、皆で花火をすることに。

私は同じママ友のA、Bとキャンプ用のイスに座りながら話をしつつ海の前で線香花火を楽しむ子供たちを眺めていました。

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しばらくして、Aの娘(仮にA子とします)が

「B子ちゃん(Bの娘)が、おいでおいでさんといっちゃった」

と、駆け寄ってきました。

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私達は雑談に夢中になっており、気がつくとそこにはB子ちゃんがいませんでした。

Bは慌てて、

「B子?!どこにいるの!」

と叫びました。

私達も

「どっちにいったの?」

「おいでおいでさんって何?海の波の事?」

と状況をA子ちゃんに確認しつつ、辺りを見回しました。

もしかすると誤って波にさらわれてしまったのでは、、、と嫌な予感も頭に浮かんできました。

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すると、

「おかーさん、、、」

車の影よりB子ちゃんがやってきました。

「B子ちゃん!」

「心配したんだよー!!」

Aと私はB子ちゃんに駆け寄りました。

しかし、何かおかしい、、、。

一番心配していたはずのBが無言のまま近寄ろうとしないのです。

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「B、どうしたの?」

声をかけてみましたが、返事がありません。

するとB子ちゃんがBに駆け寄っていきました。

「おかーさん、帰ろう?」

しかし返事がありません。

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「ねぇ、早く帰ろうよ。おかーさん。」

再度の呼びかけにも返答はありません。

「ねぇ、B、本当にどうしたの」

「おばさん、帰ろうよ」

、、、えっ?

一瞬違和感を感じました。

何故ならB子ちゃんは私の事を「おばさん」とは呼ばないからです。

いつもは「◯◯ママ」と呼んでいました。

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さらにB子ちゃんは

「帰ろうよねぇ早く帰ろうカエロカエロカエロ」と無表情で訴えて来ました。

すると

「うるせぇ!!お前なんかしらねぇ!!どっかいけぇぇえ!!」

急にBが叫びました。

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「ちょ、ちょ!どうしたのB??」

「自分の子供だからってそんな言い方、、、」

正直あせりました。

普段Bはどちらかというと大人しいおっとりママタイプで、そんな乱暴な言葉遣いはしない人でした。

それがこんなに攻撃的で、さらに子供に対して「お前!」などと言うのは信じられませんでした。

「てめぇなんてしらねぇ!どっかいけ!早くいけぇぇえええ!!!!」

私達は呆気にとられ、そのまま立ち尽くしていました。

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すると、B子ちゃんは無表情のままくるっと180度ターンし、また車の方に走って行きました。

「あっ!B子ちゃんまって、、、!」

「早く消えろクソガキがぁぁぁああ!」

Bが暴れるのを必死にAと抑えながらなんとか引きとめようとするも、B子ちゃんはまた車の影に消えて行きました。

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B子ちゃんが見えなくなると同時にBも力が抜け、その場に膝をついて座り込みました。

「早くB子ちゃんを追いかけないと、、、」

「Bも正気に戻ってよ」

そして、B子ちゃんが向かった車の方へ向かおうとすると

「おかーさん」

B子ちゃんの声が聞こえました。

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皆で声のする方向を見るとそこにはB子ちゃんがいました。

ですが、ありえないのです。

だってB子ちゃんが走っていったのは奥にある車を止めた小屋側。

でも、今B子ちゃんがいるのは私達が入ってきた後ろの細い道路側だったのです。

崖と海の間のスペースはそんなに広くないので誰か横切れば絶対に気づくはずですし、何よりこの短時間でその距離を移動することは出来るはずがありませんでした。

「B子ちゃん、、、どうやってこっち側に来たの、、、?」

そう問いかけると

「?私おいでされたから、向こういってたの。ごめんなさい」

と、言いました。

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「おいで??さっきもA子ちゃんいってたけど、おいでって何??」

「、、、あのね、、、」

「B子!!」

先ほどまで座ってグッタリとしていたBが走ってきました。

「もう!心配したんだからね!どこいってたの?」

いつも通りの優しい口調でした。

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「、、、ごめんなさい。おかあさん」

「だめよ、1人で勝手にいっちゃ」

「、、、ねぇB。さっきはどうしたの?」

「え?何が?」

「さっきすごい怒ってたじゃん」

「?え??意味わかんない」

「だから、さっきB子ちゃんにあっち行けとかいってたじゃん」

「、、、ごめん。よくわかんないんだけど、そんな事言うわけないでしょ」

もうなんだか訳が分からなくなっていました。

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「、、、なんか気味悪いね」

Aも状況がうまく飲み込めていない状態でした。

とにかく、皆落ち着く為に一旦車に戻る事に。

当初、テントを張って寝泊まりする予定でしたがそんな気力も無く今日は一旦帰ろうと言うことになりました。

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帰りの車の中、A子ちゃんに気になっていた事を聞きました。

「おいでおいでさんって何?」

「んーとね、あそこ、沢山袋あったでしょ?そこからお手てがおいでおいでしてたの。たくさんあったんだよ!それで、そのおいでおいでしてるのがおウチ(奥の小屋)の方を皆指差して、そしたらB子ちゃんが何処かに行っちゃったの」

あの時、様子がおかしかったB子ちゃんと帰っていたらどうなっていたのか。そもそもあれは本当にB子ちゃんだったのか。

疑問はつきませんがそれから誰かの身に何かが起きたりということはありませんでした。

皆さんも穴場スポットにはお気をつけください。

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すいません。

思い出しながら書いていたので、確かに途中入れ替わってましたね꒰꒪꒫꒪⌯꒱

修正しました!

分かりづらくてすいません

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途中でAとBの設定が混乱しちゃったのがちょっと残念。

返信

ヤベー!あの時一緒に帰ってたらお持ち帰りしてたってことか!!怖いな(。>д

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