伯父が体験した話です。
甥っ子の結婚披露宴を、長野のひなびた温泉郷でやった時の話。
披露宴は飲めや歌えで賑やかにとても盛況でおわりました。
やがて皆は、寝床に入り寝静まったそうです。
まだ薄暗い明け方、伯父が長い渡り廊下をちょっと行った離れたトイレに行こうとすると、こんな時間に誰かが井戸端で洗濯なんかしてる。変だな。
日本髪のマゲを結い着物で後ろ向きに洗濯…昼間見たとき、井戸なんかあったかな?
薄気味が悪かったし、怖いしで何だか逆に声をかけちゃったそうです。
「お姉さん、こんな早くから洗濯なんて偉いねえ。」と。
すると女性、薄暗い中でゆっくりと振り返ったそうです。
一緒に行っていた叔母さんは、その時、凄い悲鳴で目が覚めたそうです。
隣の布団を見ると伯父さんがいない。
何かあったのかしら?そう思った途端、伯父さんが慌てながら部屋に駆け込んできたそうです。
騒々しいので理由を聞くと、そのマゲを結ったお姉さんは明治か大正時代の着物の感じで、ゆっくり振り返ったその顔は、鼻も口もなく、真っ黒な空洞みたいな目でジッと伯父をみたそうです。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話