中編4
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昔の話です

以前住んでいた地域に牛で有名な寺があります

自分は余り、寺には興味が無く、というか得意ではなく誰かに誘われなきゃ自身の足では絶対赴かない場所の1つ

なので、友人に誘われるまで、その地域に住んで居ながら参拝などした事無く、存在だけ知ってる状態だった

ある暇な日に友人に誘われ、その寺に行く事に

余り気が乗らなかったが、「お戒檀巡り」

という何だか響きの良い言葉に釣られ行く事にした

『真っ暗な中を歩く』

『鍵を触ると幸せになる』

など、女の子のおまじないの様な事を仕切りに友人が語っていたが、

その時皆目検討も付かず

悪戯に戒檀巡りの妄想が膨らんでいた

現地へ着くと

それはそれは立派な寺院と人の多さ

線香?の煙に顔を埋め、可哀想な位ツルツルになった木製のじいさん?を撫でまわし、

どれが戒檀巡り?と疑問に思った頃、友人が

『じゃあお戒檀巡りに行こうか』

と言い出し、寺の座敷の奥へ(有料だった…)

その戒檀巡りへ行く人は多く、かなり賑わっていた

『階下へ降りたら右手は壁につけ、左手で奥にある鍵を触ってください』

(鍵…かんぬきとか言ってた様な…?)

うろ覚えなんだが、その様な事を言われ

…階下?地下があるのか?

と考えるまま人混みに押され、お戒檀巡りが始まった

列になり暫くすると、地下?へ続く階段が現れた

階段は中々急で、後ろから押され前の友人にぶつかりながら、足を滑らせそうと思うと階段は余り長くなく程なく階下へ

寺院の丁度真下なのか、

木の軋む音や会話などの雑音が遠くに聞えた

そして真っ暗だった

一寸先は闇と言わんばかりの暗闇

自分は言われた様に右で壁を触り、左で鍵を触るよう泳がせた

まさに手探り状態

友人

『幸運の鍵はどこだ〜』

大人二人並んで歩くのがやっと位のスペースしかなく、

そして詰め込んだと言わんばかりの人混み

人にぶつかるなと言う方が難しく、誰かの足を踏んだり、頭に触ったり触られたり散々な中、

手に違う感触が伝わった

自分

『何だ?鍵か?』

掌に凹凸が伝わり、指を動かしたらピクピク動く

掌に少し息がかった時

人の顔だと気付いた

自分

『うわっごめんなさい』

と言って手を離したが、誰も何も言わない

その間も後ろからどんどん押され、

今度は人の流れが右へ流れていった

自分

『あぁ、曲がるのか』

と、流れに付いていき、また左手を泳がせた

遠くからガチャガチャ音が聞こえる

『あった』『触った』などの声も聞え、もうじきかと更に手を伸ばしたら、

またさっきと同じ感触が手に伝わる

自分

『うげっ誰だよ』

声には出さなかったが、一先ず謝り、また手を引っ込め、今度は低い位置に手を伸ばした

また顔に手が付く

明らかにさっきより低い位置に手を伸ばしたが、同じ様な…

掌より大きい顔

息がかかる

自分

『なんだぁ?』

と思ってるのもつゆ知らず

友人

『あった!触った!京介あったぞ!触ったか?ここだぞ!』

友人が鍵に触れた様ではしゃいでいた

おそるおそる手を伸ばすと、壁とは違うヒンヤリした感触に手が触れた

手探りながら触り続けるとガチャガチャ音がなる

自分

『これが鍵か?』

と思うと、人に押されながらまた右に曲がり、うっすら明るくなってきた

出口か…

友人の輪郭がぼんやり見え始め、そして友人は喜んでいた

上へ上がり『お戒檀巡り』は終了

3回も触ってしまったし謝ろうと思い、自分は誰の顔を触ってしまったか周りに尋ねたが、

該当者はいなかった

じゃあ友人か?と思い、訪ねると

友人

『俺じゃないし、皆が皆、鍵触りたくて前向いてるんだぜ?後ろ向いて歩く奴なんて居ないだろうし、お前の勘違いだろ?

お前が後ろに手を伸ばせば別だが、

触られれば誰でも嫌がって何か言うだろ?

鞄か何か触ったんだって』

そう言われたら身も蓋も無いが…

でも本当にそうなんだろうか?

確かに人の顔だと…

何て思いながら自分の顔を触って確かめた

あの真っ暗な中では確かめようがないが、確かにあの感触は顔だったと思う…

不に落ちないまま寺を後にした

以上です

手に残ったのは感触のみで、幽霊を期待しましたが、その後何か起きる事はやはり無く…

ちょっと気味悪いだけで、何なのかも解らず、怖くは無かったですね。

お戒檀巡り自体は、かなり有名で人気の様で、無知な自分を少し恥じました

長文駄文の上期待に添えなく、申し訳ありません

怖い話投稿:ホラーテラー 京介さん  

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