その日の朝、
父さんはいつもと変わらず目が覚めた。
「今日は日曜日か」
寝巻き姿のまま、居間に行くが誰も居ない。
「まだ皆起きて来てないのか?…そうか今日は日曜だからまだ寝てるんだな?
確か…昨日母さんは同級会とかで夜遅かったな…」
父さんはそのまま、居間を後にし、新聞を取りに行き、新聞を持ったままトイレに入り、しばらく籠った。
静かな朝…平日のバタバタした朝とは違い、
父さんはゆっくりトイレに籠る事が出来た。
トイレを後にし、
居間へ戻ると、
母さんと娘二人が座っていた。
そして何故か娘達は泣いていた。
「どうした、お前達。何かあったのか?」
ただ娘達は泣き、母親は黙って下を向いていた。
「…話してくれなきゃ分からないだろう?
何かあったのか?」
居間には泣き声だけが響く。
そして娘の一人がこう言った。
「父さん何でいるの?」
なんで……?
意味が分からなかった。
何でいるの?何で…?
「父さん、一年前に死んじゃったんだよ?」
そして母さんが、仏壇を指差した。
「俺の…写真…?
俺の写真が何で仏壇にあるんだ…?」
…毎日毎朝現れる父さん。
それは父さんが死んだ次の日からずっと続いていた。
最初父さんを見た時、母さんは切なそうに笑ってこう言った。
「父さん、おっちょこちょいだから、死んだの気付いてないんだね」
その内、父さんが自分で死んだ事に気が付くだろうって事で、私達は黙って見守っていた。
毎朝、部屋から寝巻きのまま起きてきて、居間で立ち止まり、
「まだ皆起きて来てないのか?…そうか今日は日曜だからまだ寝てるんだな?
確か…昨日母さんは同級会とかで夜遅かったな…」
と言い、新聞を取りトイレに籠る。
そんな事が毎日毎日繰り返されてた。
だけど、流石に可哀想と言うか、成仏して欲しいと思う様になり、
決心し話すことにした。
「そうか…俺は…
死んだのか…。
……そうなのか……。」
父さん…。
父さんは、何かを悟った様に、そのままゆっくり膝から倒れていき、
…消えていった…。
さようなら…
大好きな父さん…
どうか成仏してね…。
「今日は日曜日か」
次の日また父さんは起きてきた。
おっちょこちょいな父さん
成仏した事も
忘れちゃったんだね…。
怖い話投稿:ホラーテラー 村上さん
作者怖話