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中編5
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大学時代に友人が体験した実話です。

彼(以下N)と私は都内の大学の同級生で、学部は違ったが部活が同じで家も近かったことからよく遊んだり一緒に帰ったりしていた。

お互い一人暮らしということもあり、よくどちらかの家に後輩などを呼んで、タコパーしたり用もなく溜まったりと、まあザ大学生みたいなことをよくしていた。

ある日、Nの家にみんなで集まって麻雀をしようということになり、部活帰りに近くに住む後輩を2人誘ってNの家に行った。夜8時頃からコンビニで買ったお菓子やジュースを食いながらみんなで麻雀をワイワイ楽しんでいた。

3、4時間経った頃、そろそろ疲れてきたから次でラストにしようなどと話合っていた時の事。私は以前からNの家についての疑問を投げかけた。

「Nん家ってなんか眠くならね?お札のせいか?」

そんな私のひょんな質問に全員が「眠くなる」と答えた。ただそれがなぜなのか誰も具体的な答えは持ち合わせていなかった。それなので私はお札に囲まれてるから何か守られてる気になって安心して眠くなるのかと思っていた。

実はNの実家は寺で、厄除けやら交通安全やら色んなお札が家の壁に貼られていた。合計5、6枚は見える場所にあったと思う。こう聞くと気味が悪いと思う人もいるだろうが、Nの優しいおっとりとした性格もあってか不思議とそういう感覚はなかった。多分他のやつも同じ気持ちで、その証拠にNの家にはよく皆んなであつまる事が多かった。

私が質問してからみんなで眠くなる原因について考えてみた。お札の他に家の匂いや温度、家具の色など、色んなことを確認して話したが原因はわからなかった。

みんなで変だとは思いつつも特に害もないので誰も気に留めず、そろそろラストの局を始めようと雀牌を混ぜ始めた矢先、Nが少し俯きながら口を開いた。

「不思議なことって言ったらさ、昨日変な事があったんだよ。」

Nの表情が少し変わったので、雀牌を混ぜるのやめ、みんなで聞き始めた。

「昨日の夜寝る間にDVDを観てたらそのまま電気とか消さずに寝ちゃってたんだ。さっきお前らが言ってた通りオレの家なんか強い眠気があるだろ。まあ別にこの話に眠気は関係ないんだが。とにかく寝ちゃってインターホンに起こされたんだ。」

そうNは切り出した。

「まだ外は真っ暗で多分3、4時だったと思う。最初は気のせいか、もしくは気のせいじゃなくても眠いから居留守しようと思ったんだ。でも何回も鳴らしてくるからとりあえず面倒だったけど出たんだよ。そしたらさ、70は越えてそうなおばあさんだったんだよ。正直びびったし、こんな時間だろ?嫌な予感がしたんだけどもうドア開けちゃったから閉めれなくてさ。」

皆んな興味津々な雰囲気でNの話を聞いた。

「それでおばあさんがこういうんだよ。

 “電球替えてくれませんかねぇ..."

ってさ。もちろん気味悪いし断りたかったけど眠気がすごくてさっさと済ませて寝たかったから替えてあげることにしたんだ。」

 

それにしても普通怖いだろって思ったが、Nのとぼけた性格と寝坊の常習犯ということもあったので変に納得した。

「そんでおばあさんに場所を聞いたらアパートのすぐ裏の一軒家だったんだよ。なら近いし本当にすぐやって帰れると思って行ったんだ。家に着くとおばあさんに電球を渡されて替えた。ただ切れてた電球ってのが玄関の電球だったから家に入った時は真っ暗でさすがに怖かった。でもすぐ奥のリビングってか居間の電気をつけてくれて、渡された電球を替えてあげた。なんか明るさで少し安心したのと、帰って寝れるって思ったらなんかもうあんまり怖さもなくなったんだ。」

みんな少しホッとした気分で更に話を聞いた。

「おばあさんが居間でなんかしてるから替え終わったことを伝えたんだよ。そしたらおばあさんがお礼を言ってきてさ。なんでも夜で誰も起きてないし自分じゃ高くて替えられないから困ってたんだって。そしたら目の前のオレの部屋の明かりだけ付いてたから頼みに来たんだって。

“なんでこんな時間に電球替えなきゃなんねーのか?“っていう疑問はさすがにあったけど眠いから早く帰ろうとしたんだ。そしたらおばあさんに呼び止められてさー。お礼をするからって財布出してきたんだよ。」

私「なんか結果オーライじゃん。いくらもらったんだ?」

「それが気味悪いんだよ。おばあさん小銭しかもってなくてさ。

 

 “100ぇ〜ん... 200ぇ〜ん... 700ぇ〜ん...........“

って感じで持ってる小銭数え出したんだよ。なんか昔の怪談みてーだろ?オレその時間が本当に怖くてさ。しかも数えんのがおせーんだよ。

“900ぇ〜ん... 950ぇ〜ん... 1050ぇ〜ん............“

結局3000円くらい小銭あって、もらってすぐ逃げるように帰って来たんだよ。いろんな小銭があって10円と5円以外を全部くれたんだけどさ。ただあんな調子で3000円分もあったから結構時間かかったんだよ。本当に気味悪かったんだよ。」

皆んなもう麻雀なんか忘れて聞き入っていた。

私「で、その後なんかあったんか?」

N「いや、そのまま帰って寝たけどそれからなんもないよ。部屋戻ったらまた例の眠気ですぐ寝れたから起きた時に夢かと思ったけどちゃんと大量の小銭があったから夢じゃなかった。」

私「それ確かに怖いけど幽霊とかじゃなくて良かったな。じゃあその3000円全部最終局に掛けてやりますか?」

N「なんだよそれ。てかもう使ってないから無理。」

私「もう使っちまったのかよ。昨日もらったばっかなのに。」

N「いや、不思議なことってのはこの事じゃないんだ。いや、このこともなんだけどこれは先週の話なんだ。」

私「どういうこと?」

N「昨日大家さんに会ったから電球の家の事聞いてみてんだ。そしたらさ...

 “あの家もう大分昔から誰も住んでないよ“

 だってさ。確かに今まで電気も付いてたことないし、人の気配も無いんだよ。」

その日は予定を変更し明るくなるまで麻雀を打ったことはいうまでもない。

今はお互い社会人でもうそこには住んでいないが、その家に電気が付くことはなかった。

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