短編2
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足だけ

私が介護士として働いていた時に先輩が体験した話です。

当時グループホームで働いていた時、入居者の一人が外出時、自らの意志で亡くなられました(詳しいことをお話することはできませんがご了承下さい…)

この方は認知症ではなかったので一人で外出することは家族の方も了解していました。

ご遺体が見つかったその日の夜勤、先輩が床にゴロ寝をしていると、足音が聞こえたので寝転んだまま音のする方をみると目の前に足が見えたそうです。

ズボンの感じから男性の足だと思い、男性の入居者はTサンの他1名でしたので「Iさんかい?」と声をかけ体を起こし、顔をみようとすると急に気が遠くなり一瞬気を失ってしまったそうです。すぐに気がつきましたがすでにいなくなっていたそうです。

すぐに部屋へ行くとIさんはベッドでぐっすりと眠っていたそうです。

先輩は「絶対にTさんだ!」と言っていましたが、話を聞いた時皆気のせいだと言い信じませんでした。しかし、入居者のMさんが「あそこにおじさんいるよ!おじさん座ってるから私座れないよ」等頻繁に言うようになりました。入居者の方にはTさんは急に、ご家族と暮らす事になったと伝えていました。Mさんの訴えはしばらく続きましたが認知症が進むにつれ聞かれなくなりました。

Tさんの死後、ホーム長とご家族の間で話をしていましたが詳しい事は話されませんでした。でもホーム側に問題があったのは事実でした。

ホーム長は私達に「事後処理が大変なのよ、なんてめんどうな事を残していったのかしら」と、なんとも言えない笑いを浮かべて笑っていた「気にすることないよ」って…とても嫌な笑顔だった…先輩はホームを辞めました。私も先輩の「俺達がTさんを殺したようなものだ…」と言った言葉、Tさんがいなくなった日、休みですぐに緊急の電話に気づかなかった事、すべてが嫌になり、しばらくし辞めました。

            新しくきた介護士の方が「夜勤で足だけ見える人がいるんだよね」って言っていました、Tさんは居場所がなく、まださ迷っているのかもしれません…

もう私は介護の仕事をする事はないと思いますが安らかに成仏されていることを願っています。

怖い話投稿:ホラーテラー めぐみさん  

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