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中編3
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食人一族ソニー・ビーン

15世紀、イギリスのグラスゴーの町に、馬にまたがったまま、ぐったりとしている男がたどり着いた。

人々が駆け寄って行くと、男は血だらけの顔をあげて「助けて下さい! 妻が・・妻が食われてしまう!」と叫んだ。

男に事情を聞いてみると、この先の海岸で、何十人もの人間に突然襲われたというのだ。

この盗賊たちの中にはなぜか女も子供も混じっていた。そして彼らの目は一様にギラギラし、明らかに普通の人間とは違っていたという。

たまたま馬が暴れてくれたため、男は一瞬のスキをついて馬に飛び乗り、なんとか逃げてきたらしい。だが妻までは助けられなかった。

それにしても男の真剣な訴えは、まんざら誇大表現でもなさそうだ。そういう盗賊団がいるのなら、町の人間としても放ってはおけないということで、すぐに400人の兵と猟犬まで用意して大捜索隊を組み、男の言う海岸まで捜索に行くことになった。

海岸はひっそりと静まり返っていて、それらしい建物もテントも、そして船も見当たらず、ただ漠然と岩と海が広がっているばかり。

しばらく捜索を続けていると、ある方向から異様な匂いが漂ってきた。捜索隊はみんな一様に、その匂いのしてくる方向を目指し、歩く。するとまもなくぽっかりと口をあけた大きな洞窟の前にたどり着いた。

中からは異様な体臭と死臭、そして何かが腐ったような匂いが漂ってくる。何十人もの兵士が意を決していっせいに中に踏み込むと、中にはやはり盗賊団が。

盗賊団たちは別に抵抗することなく、あっさりと捕まった。

次々と洞窟から出て来る盗賊団の人間はちょっと変わっていた。

全部で47人。彼らはみんな一様に異常な体臭を発し、着ているものも男女の区別がなく、盗賊団のわりには男と女の比率は同じくらいであった。そして老人から赤ん坊までいる。

あとは男の妻を捜さなければならない。兵士たちは再び洞窟の中へと入って行くと、洞窟の中から凄まじい悲鳴が聞こえてきた。

洞窟の奥には男の妻の変わり果てた姿があったのだ。胴体も手足もバラバラに切り離され、腹は切り裂かれて内臓はきれいに食われていた。

また、奥の方には、人間の手や足を干し肉にしたものが吊るされており、人体の塩漬けや肉片、腐りかけた頭、干物などが大量に発見された。

この47人の集団は、ここで旅行者などを襲っては洞窟で解体し、食べていたのだ。

47人は、一人の老人を長とする一つの家族であった。

長である老人の名前はソニー・ビーンという。

ソニー・ビーンは、若いころ故郷を出て妻と共にこの地に流れ着き、洞窟で生活し始めた。そしてそれから25年。妻との間に出来た子供たちは子供同士で近親相姦を繰り返し、外部とは一切接触を持たないで生活してきた。

25年間で彼らが食べた人間は推定で300人。

ソニー・ビーン一族は兵士たちの手によってエジンバラに護送された。事実が全て判明すると、彼らは裁判もなしにリースの港町で全て処刑された。

男は両手両足をオノで一本ずつ切り落とされていき、そして最後に殺された。女はトロ火で足元からあぶられ、死ぬまであぶり続けられた。処刑の方法も、これまで一族が行ってきたことに負けないくらい残酷なものであった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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