これは、私が中学3年の頃の話です。
その季節は暑い真夏でした。私は、知り合いの家族を連れて、徳島の阿波踊りを見にいった帰りでした。遅くまで、祭りをみていたため、帰るのは夜の12時は過ぎていました。次の日は、用事があるため急いで車を走らせていると、おじさんが言いました。
「近道を知っている。」
お母さんは、おじさんが指示した近道をずっといくと山道にたどり着き、
「ここを下れば時期につくだろう。」
と淡々とした声で言っていたので私たちは、こんなところが近道なんだ。と不思議に思いながら車を走らせました。
まさかあんなことが起こるとも知らずに・・。
しばらく走り続けた私は、あることに気づいた。そして、それを声に出す。
「ねぇ。何で近道なのに1台も通り過ぎないの?」
たぶん私はこのとき、恐怖で声が震えていたのだろう。お母さんが私を安心させるように言った。
「きっと、この時間だから誰もいないんじゃない?」
そして、私はこの道を指示したおじさんの方を向いた。すると、おじさんは、「なぜこの道をとっているんだ?すぐに引き返さないと!!」
と、いって意味のわからないこという。お母さんはおじさんに「あなたが指示をしたから・・。」
と言った。しかし、おじさんは「僕が言ったのは、この手前にある分かれ道を行かなくてはいけないんだよ!!こっちは違う!!すぐに引き返さないと・・」車は急に止まりユーターンしようとする。そのとき、山の木の陰で型遅れのナース服の着た人が、人を乗せたタンカーを持っていた。よくは見えなかったが、タンカーに乗せいた人を地面に捨て、にこりと笑っていた。きみが悪くなった私は下にうつむいていた。そこで聞こえないはずの声が聞こえた。
「次はあなた。」
はっと思い窓をみると男の人が血だらけの顔をこちらに向けていた。
思わず声を上げ耳をふさいだ。そして、私を乗せた車は走り出した。山を抜ける間、ずっと聞こえ続くた。
その後日、おじさんがあの山道は戦争の時に助からない人を捨てる墓場だったという。生きていても、助けられないと判断された人は、そこに捨てられるのだと言った。
きっと私がみたのはその人たちの怨念のさまよう魂だったのかもしれない。
怖い話投稿:ホラーテラー ちなつさん
作者怖話