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この話はよくあるような怪談話ですが、一応実話です。あと自分は文章が苦手なのでそういうのが駄目な方はスルーしてください。
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自分がまだ高校生の頃、学校の行事で夏場に1週間ほど山奥にある合宿所に宿泊させられていた。
山奥だけあって夜の雰囲気は半端じゃなかった。例のごとく生徒達の間では『もともとは墓場だった』『自殺者の出た結婚式場だった』などの根も葉もない噂話が飛び交っていた。
実際はどうだったのかは卒業してから5年ほどたった今でもわからない。
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しかし、実際にこの合宿所には開かずの部屋があった。
その部屋は宿泊棟の一番手前にある101号室で他の部屋の扉は生徒が宿泊中も開きっぱなしにしてあるのにその部屋の扉は常に閉ざされ、鍵穴はパテのようなもので埋められてしまっていた。
だから好奇心を持った生徒がいても開けることはできなかった。
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自分が確か高校3年で最後にこの合宿所を訪れたときの話だ。
高校3年で受験勉強のシーズンであったが自分の部屋のメンバーは自分含めて4人(仮にA、B、Cとしておく)は皆推薦で大学が既に決まっており、ただ単に仲の良い友達との宿泊行事くらいに考えていた。
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最初の何日かはみんなウキウキで特に問題なく過ごしていたのだが、さすがに5日目程になるとみんなやることがなく退屈し始めてしまっていた。
そこでAが、
A『どうせ今年で最後だし、あの開かずの部屋に夜中に潜入してみようぜ』
などと提案してきた。
B『いいけど、あの鍵穴じゃ無理だろ』
と冷静な判断を見せたが
A『まぁ最悪壊すだろwww』
などとトチ狂ったことを言い始めたが、皆Aが一度言い出したら聞かないことは知っていたから何も言わなかった。
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決行日は帰宅日の前の夜中になった。最初は乗り気じゃなかった自分とCもなんだかワクワクして仕方なかった。
高校最後の思い出作りとしてはわるくなかったからである。
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そして、決行日。夜中の見回りの教師がいつもは1人のはずが、その日に限って2人体制であり自分たちの部屋は一番奥の109号室で件の部屋とはかなり距離がありそこを集団で行動するとすぐにバレそうなことからAが代表して部屋の中に入り携帯電話でムービーを撮って帰るという計画に変更した。
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そして夜中の2時頃に計画を開始した。Aが待機組の3人に
A『俺、この任務が終わったら結婚するんだwww』
などとお手本のような死亡フラグのセリフを言って部屋を出て行った。
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そして自分とBとCが談笑しているとものの5分程でAが戻ってきた。顔は真っ青で、若干涙目になっていた。
自分がAになにがあったのか聞いてみるとAは話してくれた。
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A『あの部屋のドアノブを何回かガチャガチャしたんだけどビクともしなくて、押したり引いたりしてたら中からガチャリって音がしたんだよ!!!』
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暫くの沈黙のあと待機組の3人は一斉に見回りの教師にバレないよう声を殺して笑った。
B『ちょwwwおまwwwビビりすぎだろw』
C『馬鹿だろお前www』
自分『そんなん気のせいか、隣の部屋の音に決まってんだろw』
などと馬鹿にすると、Aも暫く真面目に考えた後
A『あー確かに隣の部屋の音っぽかったわwww』
などとAも笑いはじめ、5分ほど笑いながらAをからかっていた。
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すると、廊下から見回りの体育教師の怒号が聞こえた。
『オラー!お前なにやってんだ!こんな時間に!!』
自分たちは、『ヤバイ!!』と思って速攻で布団を被り寝たふりをした。
自分たちではないだろう。などと考えていると予想に反して体育教師はダッシュで自分達の部屋に入ってきた。
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体育教師は、
『お前ら全員、廊下出ろ!!』
とかなり激昂しながら言ってきた。
自分たちは廊下に正座させられて説教が始まった。
最初は『お前ら、何時だと思ってんだ』『推薦取り消されてえのか』などと有難い説教をいただいた。
『まぁいい、とりあえず、、、』
と前置きしてから話始めた体育教師の言葉に自分たちは戦慄した。
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『さっき俺の前を大声で笑いながら部屋に走って入っていったのはだれだ!?』
俺たちの頭の中は?ばかりが飛び交っていた。
確かにAは走って部屋に入ってきたが、それは体育教師がくる5分以上も前のことだったし大声で笑ってもいなかった。
そんな自分たちを他所に体育教師は
『誰がやったか言うまで部屋には戻さんぞ』
などと言ってきた。
混乱して誰も何も言わなかった。というよりは言えなかった。
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体育教師の言うことには開かずの部屋の前に生徒が立っており、自分たちが聞いた怒号を浴びせるとそいつはゲラゲラと大声で笑いながら走って自分たちの部屋に入っていったそうだ。
その生徒の後ろ姿しか見ていなかった体育教師は誰かわからずにどなりこんできたそうだ。
もちろん部屋には体育教師以外は誰も入って来ていなかった。
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結局、みんなだんまりで1時間程して解放された。
解放された後も誰も喋らずに皆そのまま寝てしまった。
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次の朝、1週間の間見続けた変わらない風景がそこにあった。
ただひとつ違ったのは、あの開かずの部屋の入り口を隠すように衝立が立てられていた。
ほかのやつらがあれは何かと噂している横で、自分たちはもうなにも聞かずに早くこの合宿所を離れたいと願い続けた。
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それからよくある怪談のようにAの気が触れたとか、誰かがいなくなったなどないまま自分たちは帰路に着いた。
自分たちの最後の思い出作りは最悪の形で幕を閉じた。
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そして、最近の話。
たまたま同じ高校だった後輩としりあってそいつと呑みに行った。
最初はどの先生がウザかったなどの他愛もない話でもりあがっていたのだが、そのうちあの合宿所の話になった。
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自分『そう言えばあの合宿所に開かずの部屋あったんだよ』
後輩『あー自分の代でもありましたよ。』
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後輩『でもやっぱりあの部屋一番奥にあるから雰囲気ヤバかったっすよね??』
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ん??おかしい、あの部屋は一番手前のはずだった。
自分『何言ってんだよ開かずの部屋は一番手前だろw』
後輩『いやいやwww一番奥の109号室じゃないですか!! 僕あそこで写真撮ったから確かですよ』
と言い見せて来た写真は扉は閉ざされ鍵穴にパテのようなものが詰められたあの部屋のものだった。
ただひとつ違ったのは扉に書かれた数字が101ではなくて109だったことだ。
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自分は一気に酔いが冷めて、トイレに行って胃の中のものをすべて吐き出し。体調が悪いといってそのまま家に帰った。
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俺が卒業してから後輩が入学するまでの間にあの自分たちが宿泊した109号室であの後何が起こったのか、当時を知る先生とかに話を聞けばわかるだろうが自分は絶対にそんなことはしないだろう。
作者デニーロ