うちの家のそばには2階建てのアパートがあります。
僕が中学1年のころにそこのアパートの2階に3歳ほどの男の子がいる3人家族が引っ越してきました。
家からすぐそばなので、たまに子どもの泣き声とお母さんらしき人の叱り声が聞こえてきました。
あまりにも激しい叱り声の時もあり気になってはいましたが、やはりあくまで隣人というだけで首を突っ込めるものではありません。
そして、そんな隣人の存在に気にしながらの生活が7年も続き、僕も夜間の専門学校を卒業する時期をむかえました。
学校を終えたあとにバイトをしている僕はしばしば真夜中に帰宅することがあり、寝付くのが2、3時になることがほとんどでした。
そんな真夜中にもかかわらず、子どもの泣き声と激しい叱り声が聞こえてくることが何度もありました。7年も経つと、日常的に慣れてしまっていた部分もありましたが、あまりにも激しく叱るので、ある時、耳を澄まして聞いてみることにしました。
『……のは!……だから……なんか…!』
はっきり聞こえませんでしたが怖い気持ちに捕らわれました。なぜってよく考えたら子どもは10歳ほどなのに、真夜中に怒鳴りつける姿を想像してしまったからです。
次の日も、次の日も、聞いてみました。
日に日に怒鳴り声が大きくなってきてるようでした…
『お父さんがいなくなったのは!……だから……なんか…!』
『お父さんがいなくなったのは!あんたが悪い子だからだよ!……なんか…!』
再び次の日聞いてしまったのです…
『お父さんがいなくなったのは!あんたが悪い子だからだよ!あんたなんか死ね!』
…!
思わず耳を疑い、すぐに布団に入ってしまいました。
…次の日に近所のおばさんが回覧板を持ってきた際に久しぶりに世間話をしました。ついでにと思い、昨夜の話をしてみると『えっ、あそこの部屋は、4年前に子ども虐待してたお母さんが無理心中してから誰も入ってないわよ。だっておばさん回覧板回してないもの…』と言いました………
あまりにも怖すぎて家で寝るのをためらいましたが、我慢をして寝ることにしました…
あの最後の『死ね!』という言葉が耳に焼き付いたまま、今では泣き声も叱り声も聞くことはなくなりました…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話