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短編2
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踏まれる女、踏む女 4

「下半身の方も見て!」

道化師が叫ぶ

僕は手をのばして踏む女を掴んだ

さっきと違う感情が流れ込む

また頭を映像や音声が駆け抜ける

踏まれる女は雪子さんだった

踏む女は・・姑さんだ!

空襲がすんで外へでた姑さんが見たのは

爆弾で死んだ雪子さんの死体

下半身が吹き飛ばされて

顔は鬼のような怒りの形相だった

生きる気力を失ったしまった

近くの古井戸に身を投げた

その時つるが足に絡んだ

姑さんが最後に見たのは

古井戸の底から手をのばして身体を掴む

鬼のような雪子さん

姑さんも身体がまっぷたつに千切れて死んだ

まだ見える

これは誰の見たものだ!

祟りを恐れた村人が雪子さんの顔を焼いてる

それから姑さんの下半身と一緒に埋めた

わかった!

雪子さんに呪い殺された姑さんが雪子さんを踏むから成仏出来ないのか!

道化師がまた叫んだ

「違う!もっとよく見て!雪子さんに引きづられないで!」

僕は下半身を力を込めて掴んだ

あぁ全てがわかった!

姑さんは悪くなかった

まだ若い雪子さんが良一さんの事を忘れて人生をやり直してもらうため

わざと虐めてたのだ

段々目が悪くなってきた自分の面倒をみるために雪子さんの一生を台無しにしたくなかった

そして空襲のあの日

姑さんは最後まで雪子さんの来るのを待っていた

ほとんど見えなくなっていた目で

雪子さんの姿は見えてなかった

見捨てたんじゃない!

道化師が叫ぶ

「二人の気持ち一緒にして!」

「雪子さんの幽霊を掴んで二人を繋げて!」

僕は踏まれる女の肩を掴んだ

僕の中で混ざりあった感情や映像音声が二人へ流れていった

踏まれる女、踏む女が消えた

そして淡い光に包まれて

生きていた時の姿に戻った雪子さんと姑さんがお互いを支え合うように立っていた

「おかあさん・・ごめんなさい」

「私こそ・・ごめんなさい雪子さん」

涙を流し抱きしめあって

ふわっと消えた

怖い話投稿:ホラーテラー 守り人さん  

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