まず最初に弟を殺した。
弟は俺とは違って本当に良くできた弟だった。
だから昔から余計に目障りで、正直こんな奴一番最初にいなくなればいいと思っていた。
死体は家の裏にある井戸に捨てた。
………数日後、死体は井戸から消えていた…。
次に父親を殺した。
昔からろくでなしの俺を馬鹿にして、怒鳴りつけては暴力が絶えなかった。
だからやってやった。
やられて当然だと思う。
死体は家の裏にある井戸に捨てた。
………数日後、死体は井戸から消えていた…。
次に近所のじいさんを殺した。
俺が父親を殺しているところを目撃されたからだ。
それだけ。
死体は家の裏にある井戸に捨てた。
………数日後、死体は井戸から消えていた…。
なんだ?何故だ?
なんで次々と井戸に捨てたはずの死体が消えるんだ…?
さすがに気味が悪い。
最後に母親を殺そうとしていたが、少しためらう。
母親と些細なことでケンカをした。
泣きながら母親は俺に言った。
「今までいつだってアンタの為にやってきたのに」
…だとさ。
そんなこと言っても、俺の怒りを煽るだけだった。
俺の為?
笑える。
母親の死体も家の裏にある井戸に捨てた。
ある…ある…ある………何故か母親の死体だけは何日たっても井戸から消えない…。
一週間、一ヶ月、、、死体は井戸の中で腐敗しはじめた。
変わり果てた母親の姿を上から見つめる。
「なんだそういうことか…」
俺は満足気な笑みを浮かべてその場から去った………。
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話