僕がまだ小学生の頃
お母さんが重い病気で入院しました
お母さんが入院してからはおばあちゃんが来てくれていたのですが
家の中は明かりが消えたみたいに寂しくて、妹のメグちゃんはママーママーっていつも泣いてました
「まだ4才なのに・・」頭を撫でながら、おばあちゃんが言ってたので
僕もメグちゃんを励まそうと、我慢してママゴトやお人形さん遊びを一緒にしました
そんな日が半年程続いて
日曜日いつもの様にお父さんに連れられて病院にお見舞いに行きました
お母さんは長かった黒髪も抜け落ちてやつれて、それでも精一杯の笑顔でいてくれて
帰り際にお母さんはメグちゃんと僕を抱きしめながら大声で泣いて
メグちゃんが「ママーなんで泣いてるのママー泣かないで」って泣いたので僕も我慢出来ず大声で泣いてしまいました
次の日にお母さんが亡くなり通夜が行われ
メグちゃんはお母さんが亡くなったのが分からずお父さんやおばあちゃんを困らせてました
お葬式の日の晩
お父さんが2本のビデオテープを出してきて
「お母さんはこの中にいるからね」
と言って再生してくれました
「メグちゃんはまだ小さいからお母さんは心配です・・・・
・・寂しくなったらいつでも会いにきてね。お母さんはこの中に居るから。メグちゃんを見守ってるからね。ごめんねメグちゃん。ずっと幸せを見守ってるからね」
お母さんは精一杯の笑顔を作ってるのに
僕には泣いてる様に見えてた
もう1本のテープは僕への分で、2本とも5分位の長さだったけど、お母さんの愛情が溢れてて
その日は二人ともテープを抱いて寝ました
メグちゃんは「ママは箱になっちゃった」と言って
もう「ママーママー」って泣かなくなりました
それから年月が流れて妹が結婚する事になりました
僕はふと思いついて妹に相談しました
僕の祝辞の代わりにお母さんのビデオレターを再生してもいいか
僕はお母さんにも妹の結婚式に参加して欲しかったのです
妹も新郎さんも喜んで賛成してくれました
結婚式は暖かい雰囲気で進んでいき
お母さんのビデオレターが流れはじめました
「メグちゃんはまだ小さいから・・・・
・・メグちゃんを見守ってるからね。おめでとうメグちゃん。ずっと幸せを見守ってるからね」
ビデオレターが終わる間際10秒位でしたが
お母さんは元気な頃の姿で、長い黒髪で、つややかで、とびっきりの笑顔を見せてくれました
妹の方を見ると
涙が溢れてて、せっかくの化粧が台無しになってて
僕は泣きながら笑ってしまいました
あなたの大事な人の写真やビデオも
あなたの幸せな時に
とびっきりの笑顔を見せてくれます・・・きっと
怖い話投稿:ホラーテラー 守り人さん
作者怖話