中学生だった時の話。
部活の合宿でロードレースがあったんだ。俺は陸上部の長距離。
山道を走る練習の時、けっこうな坂を登ることがあったんだけど、合宿2日目の練習でそれは起こった。
昨日まで走れていた山道に差し掛かったとき、膝の力が抜けて、貧血が起きたように倒れてしまった。
自力で立ち上がれず、もがいているような感じだったらしい。
胸が苦しくなって、息ができない…助けて…
意識が薄らいでいくときに、声が聞こえたんだよ。
「まだ生きてるの」
って。耳元で。
合宿所に先生が運んでくれたときに、俺はうわごとのように、
「生きたい…生きたい…」
とつぶやいていたらしい。
他の部員より一日早く、俺は合宿から帰り、地元の病院に行ったら、高山病だった。しばらく安静にしていれば治るとのこと。
しかし、あの時の
「まだ生きてるの」
は今だに耳に残ってる。
俺と変わらないくらいの歳の女の子だったと思う。
俺はまだ生きている。
空耳だったのかな。
今だに気になっているが確かめる術はない。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話