お盆休みは俺が臨時の院長となる。
その初日、激しい暴行を受けた患者が搬送された。
普段なら下の方の外科医に任せる程度だったが、
人手不足で担当する事になった。
患者に怪我の原因を聞くと、
「誰にも言うなよ」と言って語った。
「俺は孤独に登山を楽しんでたんや。
けどよ、県境付近で俺とは違う足音が聞こえたんや。
後ろ振り向いても誰もおらん。けど、足音は聞こえんねん。
後ろ見んようにして、足で確認したら、
後ろに誰の足があってん。
パニクッて走って逃げようとした時、
奴の足を蹴ってしまった。
その後、蹴り返されて、
立ち上がろうとしたら、
また蹴られる。
見えない奴に。
蹴られ続けて湖に落ちた時、蹴られるのは終ったんや。」
その話をオカルトマニアの友人に話したら、
一緒に行こうと誘ってきた。
お盆休み後、仕方なく行くと、怖くなってきた。
患者の言っていた場所に着くと、足音ではなく誰かの声が聞こえてきた。
友人は興味津々に進み、追いかける。
鍾乳洞にたどり着いた。
声が聞こえる。
中に入ると分かれ道。
友人は「お前はあっち」と指示し別行動となった。
進んでいくと声が近づいて来る。
そして、行き止まり、蹴られ続ける男がいた。
耳をすますと、
足音も聞こえる。
驚いて振り向こうとした時
俺は奴の足を蹴ってしまった。
作者ポンポンEX
大阪弁でわかりづらいかもしれません。