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短編2
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ウツムキオジサン

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――いつもなら創作ものの怪談作品を投稿するところですが、

今日はぜひとも皆さんにお伝えしたい実体験が起きたのでご紹介します。―—

私はある病院の駐車場に停めた車の中で、目の疲れを覚えて少し休憩しようと思った。

車は病院の入口の自動ドアがちょうど見える位置に停まっている。

気候がよくなってきてエアコンが要らなかったので私は少し窓を開けてうつらうつらと目を閉じたり開けたりしながら自動ドアのほうをぼーっと眺めていた。

中高年の男女がちらほらと出たり入ったりしていたが、一人だけ少し異様な雰囲気の人を見た。

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病院の入口の自動ドアは二重になっており、その間の玄関のような狭い空間は車の中からもしっかり見えた。

私が2、3回目にゆっくりと目を開ける途中、60代くらいの割と背の高い男性が、壁に手をついてうつむいている。

その一瞬は、そこが病院であるだけに多少落ち込んでいる人がいてもおかしくないと思えた。

しかし1、2秒かけて目を完全に開けると、その人は忽然と消えていた。

当然自動ドアに挟まれた空間にいる以上、自動ドアが開閉するのにかかる時間からして一瞬のうちにその場から消えることは不可能だ。

ましてやさっきまで壁に体重をかけていた年配の人がそれほど早く移動できるとは考え難い。

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そしてその人はよっぽど彫の深い顔立ちだったのか、目元の部分にだけ暗い影が落ちていた。

そのため昼間なのに目が全くわからなかった。

それに、今思い出してみると風景の中でその人の部分だけ画素が荒く見えていた気がするし、

顔から服までが異常なくらい鈍く暗い色をしていた。

もしかすると、あのうつむいたオジサンはこの世のものではなかったのかもしれない。

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