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短編2
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トクホンの香り

私 たまに霊が見える時が有るんですよね、小学生の頃からなんでみんな見えると思っていて、よく亡くなった母に叱られました。友人もたまに私が見えているのに気がつく人がいて、時々霊障かどうか分からない話を聞き付けては私をそこに連れて行くんです、

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そんな話の一つをしますね、あれは埼玉県だったかな、海鮮丼ご馳になってそのまま車で拉致、その家は住宅街を抜けた林の中にありました。玄関を入るとすぐトクホンの香りがしたんです、出てきた女性は妊婦さんで、「トクホンの匂いするでしょ」と怯えた目で私達を招き入れました。廊下を進んで直ぐ右の居間に通されましたが、その時奥の左の部屋にトクホンの香りの主が顔を出し、会釈して消えました。

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女性はこの家のお嫁さん、最近おばあちゃんが亡くなったそうなんですが、昼間はずっと二人きり、食事は作るがおばあちゃんの分は部屋に運び、嫁いでからなんかうざくて話もろくにしなかったとか、それでもいつもニコニコ「ありがとう」と笑ってくれたのですがほぼ無視していたそうです、それが亡くなってずっとこのトクホンの匂いに悩まされ、私が呼ばれた。お嫁さんは優しいおばあちゃんにいつも冷たいしていた罪悪感に苛まれていて、恨まれていると怯えていた。

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早速おばあちゃんの部屋に意識を向けると、気持ちが私の心になだれ込んできた。大丈夫、半分ボケていたおばあちゃんはただひ孫を見たかっただけ、「お嫁さんが怯えるから」と上がって頂くよう話すと、一瞬笑顔が消えお嫁さんを見るとゆっくり頷いてまたニコニコと消えて行きました。お嫁さんにもおばあちゃんの気持ちを伝えると涙をこぼして手を合わせ、清々しい気持ちで帰路につきました。

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霊も元は人です、死ぬと少しずつ現世の記憶が薄れていくようで、ボケないうちに登った方が良いようで、死の間際恨んだり必要以上に心配するとなかなか上に上がれなくなりやがてなんで恨んでいるのか、怒っているのか、心配してるのか分からなくなるようで、だれかれかまわずすがりついて悪霊になっちゃうみたいです、皆さん死ぬときはなるべく心穏やかに全て諦めて行きましょうね。

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