この話は本当かどうかは分かりません。以前、ある大学で流行った話です。
大学生をA(男)とします。その日は、理科サークルの仲間と夜遅くまで実験しており、帰るのがかなり遅くなってしまいました。帰りの電車に乗っていると、すごい大雨でした。途中、乗り換えをしなければいけないのですが、どうやら寝てしまったので、乗り過ごしてしまいました。
気づいたときは11時30分で、30分以上寝ていました。Aの乗ってる車両には誰もいません。モニター表示を見ると ~次は○○駅〜 全然知らない駅の名前。 後ろを振り返って、窓から外を見ると、草原っぽい土地が広がっていました。「結構田舎の所まで来てしまったんだな(家に着くのは何時になることやら)。」と思い、正面に顔を向き直そうとした時、ふと何かが視界に入り、鳥肌が立ちました。なんと両車と両車を繋ぐドアから、女がドアの窓にべったり張り付いてこっらを覗いていたんです。首を曲げて。瞬きせずにずっと。 服装は、汚れてヨレヨレのパジャマみたい。年齢は30~40歳くらい。
あぁぁあぁあぁぁぁぁぁああやばい!!
Aは身動きがとれません。反射的に、目をつぶりました。
30秒くらい経ったでしようか。目を開いた時にはもういませんでした。
とりあえず、助けを求めようと、鞄から携帯を取った瞬間、ズバーーーーーーンと音を切って電車がトンネル中に入り、辺りが暗くなりました。びっくりして、顔を上げ、向かいの窓を見ると、Aの後ろの窓にさっきの女の顔が映り込んでいて、目に血を流ししながらAを見ていました。Aはとっさに「あーーーーーーー!!」と叫んだそうです。それを聞きつけて、どこからかサラリーマンのおじさんが来ました。少し古そうなスーツ姿でした。
それからおじさんは電車が駅に止まるまで、Aのさっきまでの出来事を何も喋らず聞いてくれたそうです。
駅に着き、Aが「おじさんも降りた方がいい。」と何度も言いましたが、ずっと無言で、降りようとはしませんでした。電車が出発した時、「ごめんなさい」と男の声がかすかに聞こえました。多分、あのおじさんでしょう。
その後調べたら、駅の近く町には以前、ある夫婦が暮らしていたそうです。妻は妊婦だったそうでが、ある日、傘をさしながら自転車に乗っていた男にひき逃げされたそうです。そのため、お腹の赤ちゃんは即死。ショックだった妻はその後、赤ちゃんの人形を抱きながらパジャマで深夜の町を徘徊していました。ある朝、変わり果てた姿で発見されました。
それからというもの、その女の霊がいろんな所に出現し、男の顔じっくり見て、消えると噂になりました。残された夫は、町中から非難され責任を感じ、妻がひき逃げされた所で自ら腹を刺し、自殺しました。それから、妻がいろんな所に現れては、夫が止めに来て、謝るんだそうです。
作者ムートン