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中編3
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男子寮の放送

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俺の入ってた高校の寮の話なんだけどさ、七不思議ってのがあって、その一つ、深夜の放送ってのがあるんだけど、個人的に一番怖くて、唯一経験した話だから、ここに置いてみようと思う。

 

その話を聞いたのは俺が入学して一年目の時、同室だった先輩がまだ寮に慣れてない俺に話してくれた一年生への洗礼のような話。

俺の入ってた寮は消灯点呼ってのがあって、大体10時ぐらいなんだけど、それが終わったら放送がならなくなるんだ。

例えば誰かがこの寮に知り合いがいるとして、その人が会いに来てくれたら、放送で、『○階○年生○○君。ご面会の方がお越しです。玄関まで来てください』って放送が鳴って呼び出されるんだよ。

だけど消灯点呼が終わったら寮の方から面会とか電話を断るのね。もう消灯後ですので、ってな具合で。

だけど一つだけ例外があるんだ。

噂なんだけど、その条件は『その日、寮で起きてるのが自分だけで、その状態で深夜の2時を迎えること』なんだよ。

その条件をクリアしたら放送がなる。

ありがちなピンポンパンポンって音がなって、『○階○年生○○君。ご面会の方がお越しです、玄関まで来てください』って。

勿論深夜の2時なんて時間、この寮じゃなくても放送なんてならない。当然好き勝手動ける時間じゃないし、何より怖いよね、そんなの。

んで、無視してたら二、三回おんなじ放送がなって、そしたら廊下で足音が聞こえる。

足音は自分の扉の前で止まって、自分の担当の幹事さんの声で「おい○○、面会だぞ。起きてるだろ」って言ってくるんだ。

扉には生徒は鍵かけちゃだめだから、鍵はかけれないんだけど、空いてるはずなのに自分からは開けないで扉をドンドン叩いてくる。 

行ったらどうなるのか、行かなかったらどうなるのか。

そこまでは分からない、そんな話。

んで、ここからが俺の体験談なんだけど、最初俺にその話をしてくれた先輩がさ、「俺、最近その話に挑戦してみることにしたんだよね。昨日も2時まで起きてこれで3日目。もうそろそろだと思うんだけどな」って言ってきたんだよ。

俺もこんな話冗談だと思ってたからさ、「じゃあ放送がきたら行ってみてくださいよ。んで結果教えてください」とか言って頼んだ。

その次の日、先輩は消えた。

寮では脱寮って話になっててみんな探してたけど、俺はきっと先輩は放送に出たんだと思った。

そして俺が三年生になった時、まぁ先輩ともそこまで仲が良かったわけじゃなかったし、怖かった気持ちも薄れてきた頃、友達とその話で盛り上がったんだよ。

それで俺は調子に乗って、じゃあ今日から2時まで起きてみるわ!なんて言ってその日から2時まで起き始めた。

そしたら4日経った時、その時が来た。

『○階○年生○○君。ご面会の方がお越しです、玄関まで来てください』

チャイムの音ともに、聞き慣れたフレーズが聞こえた。

俺は震えが止まらなかった。

布団の中に蹲って、こんなことをしたことを後悔した。

既に扉の前で自分の担当の幹事の声をしたナニカが扉をドンドン叩いてる。

開けて入ってきたらどうしようという恐怖が、俺の頭から離れなかった。

そして朝まで震えながら起きて、俺は生還した。

今でも思い出す、あの放送と、幹事の抑揚のない声。

でも一番怖かったのは、放送の声が先輩の声だったってこと。

きっと誰かが行くまで、そこから抜け出せないんだろうなと思う。

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