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面白がって近づいたりしたらダメ

中編7
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面白がって近づいたりしたらダメ

以前、一度だけ自体験のコワバナを投稿しましたが、今回は人から聞いたお話です。

ある日、同業の取引先の社長さんから聞いたお話しを書きます。

私は、この社長さんと非常に馬が合い、ちょくちょく一緒にお酒を酌み交わしたりする仲で、素面であっても商売の話は勿論、非常にくだらない話なんかで盛り上がる友達みたいな関係です。

私が、この社長さんととあるテーマパークの話をしていた時。

自他ともに認める元DQNだった彼は意外な事にお化け屋敷が苦手って話を聞きました。

本当に意外だった私は、その理由を訊くととある事件が理由だというのです。

私たちの住む県には、有名な心霊スポットがあり、若かりし日のその社長さんは友達(DQN仲間)7人で肝試しにその心霊スポットに行くことにしたんです。

ちなみに、その心霊スポットはトンネル。

長さは150mほどなのですが、非常に狭いトンネルで、ところどころ離合用のスペースはあるものの、トンネルはカーブもあり非常に運転しにくくなってます。

また、トンネルには勾配があり照明など全くないので、昼間であってもライトは必須です。

社長さんたちは『やっぱり肝試しは夜でしょー』って事でファミレスでご飯を食べ、10時頃に出発して件のトンネルに付く頃には0時を回っておりました。

最初はノリノリだったのですが、

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一度車を降りトンネルの前で一服しながら友達と打ち合わせをしていると、その異様な雰囲気に呑まれてしまったのか背筋にゾクリと感じるものがあったらしいです。

しかし、同じ車内に女の子が乗っていたのもあって元気よく『んじゃ取り敢えず反対側まで車で突っ切ってみようぜ!』なんて言いながら、バイク2台を先頭に、その後ろを車3台が付いていくかたちでトンネルの中に入って行ったんです。

トンネルの中はただでさえ狭いのに夜中にヘッドライトを頼りに進むと本当にゆっくり走っていても壁が迫ってくるようにみえたそうです。

そして、トンネルのちょうど中間くらいにきた時です。

3台の車の内、先頭を走っていた社長さんの車がなんの前触れもなく完全にエンストしたんです。

ヘッドライトも付きません。

先を走っていたバイクは気付いていないのかどんどん先に行ってしまいました。

カーブの先にバイクが行ってしまうと、本当に真っ暗闇で助手席に座っている女の子の顔も見えません。

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車内の女の子は笑いながら『ちょっとーやめてよー!』と巫山戯ているのかと思っているようですが、その社長さんは内心パニック。

どうやってもエンジンがかからない、かからないどころかキーを回してもセルの音さえも聞こえません。

『やべぇ……電装系の故障か?』なんて考えていたら『そういえば自分の車が動かないから後続の2台が難儀しているんじゃないか?』と思いだし、ドアミラー越しに後ろを見ました。

すると、本来見えるはずの後続車のヘッドライトの光がミラーに映っていません。

他の車のエンジン音も聞こえてこないし、ドキドキしている心臓の音が聞こえてくるんじゃないかと思うほど、回りは静かです。

不審に思い、携帯で後ろの友達に電話をかけました。

すると、ワンコール目で友達が電話に出たのですが、友達はパニック状態。

『今、お前の車のすぐ後ろにいる!エンジンがかからない!!ライトも点かない!!ヤベェ!!なんだこれ!?』

なんと車3台が3台とも同じ場所で完全に止まってしまっていたのです。

流石に普通ではありえない状況に冷や汗がでました。

最初はドッキリだと思っていた女の子も、事態を把握したのか押し黙っています。

そして、何度目だったのかは分かりませんが、キーを回したら不意にエンジンがかかったのです。

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しかも、3台ともほぼ同時に。

スピードを出したい気持ちを抑え、ゆっくりと進んでいきました。

それ以降、トンネルの反対側に出るまで何事もなく、反対側でバイクの二人と合流し、トンネルの中であった事を話しました。

『で、どうする?』

当然、帰りもトンネルの中を通らないといけません。

今度は、車を先に走らせて、バイクが後を付いていく事に。

常に後ろを気にかけてバックミラーをよく見ながら進もうと取り決めて、トンネルに入りました。

ハンドルを握る手にも力が入ります。

……

……

……

今度はすんなりとトンネルを出ることが出来ました。

友達の一人に『なんだか、どっと疲れた気がするから今日はここで解散しよう』と提案され、あのエンストは何だったのか?を考えながら女の子を部屋まで送ってから帰りました。

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そして、次の日。

『バイクの二人と連絡が取れない!』と友達から連絡がありました。

『どうする?探しに行く?』なんて話し合っていると、バイク組の片方から連絡がありました。

なんでも帰りに事故に遭い、救急車で運ばれて入院。足を単純骨折する怪我でそんなに酷くは無いものの、携帯のバッテリーが切れて連絡できなかったと笑っていました。

もう一人の事を訊くと、帰り道で別れた後の事は分からないと言われました。

『取り敢えず、その別れたところまで行ってみようか?』と車組の友達と話していると、程なくしてもう一人のバイク組からも電話がありました。

すると、驚いたことに彼の方も事故に遭い救急車で運ばれていました。

彼の方も怪我は足の骨折で全治1ヶ月だったらしく、取り敢えずは良かった良かったとみんなでほっと胸をなでおろしました。

しかし、この話はこれで終わりではありません。

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それから大体1ヶ月ほど後、エンストになった車組の男3人で福岡まで飲みに行こう!という話になり、泊まりがけで福岡まで行ったんです。

3人で福岡の歓楽街を楽しんでいたら、占い師のおばさんに声をかけられました。

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shake

『あなた達、ちょっと待ちなさい!』

最初びっくりするくらい大きい声で呼び止められたので、何かと思ったらしいです。

なんだこの人と不審に思いながら『え?なんですか?』と返すと

『あなた達、何か悪い事でもした?』と訊かれました。

酔っぱらっていたこともあり『悪い事だったらたくさんやってまーす!』と笑いながら友達が返すと

『いや、そういう事じゃない。だったらどっか行ったらいけない所にでも行った?』と訊かれました。

そのおばさんの顔があまりにも真剣な事もありましたが、3人ともすぐにあのトンネルの事が頭に浮かんだようでした。

『あっ、はい……地元の心霊スポットに……』と友達が素直に答えるとおばさんは深いため息をついてこう言いました。

『やっぱり……。あなた達ねぇ……もういっっっっぱい憑いてるよ!』

酔いが醒めるってのは、ああいうのを言うんだって社長さんは言ってました。

『知り合いの所を紹介してあげるから、お祓いに行きなさい』と言われ、正直、最初ボられると身構えて料金を訊くと一人3,000円とお手頃でした。

しかも、急いだ方が良いと言って、もう夜も遅いのに、そのおばさんは早速神社の知り合いに連絡をしてくれて、今すぐその神社まで車で連れて行ってくれるそうです。

正直、あんまり親切なんで、逆に怪しいと思ったみたいですが、

『まぁいざとなったら、こっちは男3人だしなんとかなるかぁ』と思い、着いていく事にしました。

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すると車で1時間近く走った、もう『ここ、本当に福岡?』ってくらいの山の中の神社まで連れて行かれ、社長さんたちも流石に不安になっていました。

出てきた神主さんはわりと普通のオッサンという風で、社長さんたちを見ると開口一番『あぁ、これは酷いな……』と呟き、

『うーん……○×△※(ナントカナントカ)でいいかなぁ……』とかおばさんと何か話をしています。

そして『この服に着替えて下さい』と言われて真っ白な服に着替えるように言われました。

(ここら辺は『俺、最後の最後まで追い剥ぎだったらどうしよう……』とか思ってたと笑いながら話をしていました)

そして社長さんが心配した追い剥ぎなんて事は全くなく、普通に祝詞(だと思う)を上げて貰って、意外なほどあっさり、30分くらいでお祓いが終わり、しかもその後3人で予約していたホテルまで送ってもらったんです。

すっかり緊張の解けた社長さんたちでしたが、帰りの車の中で『どんな人?幽霊?が憑いていたんですか?』とおばさんに問いかけると、『3人とも、子供とか、人もだったけど動物とかも、もう今まで見たことないくらい憑いてた』と言われ、けっこうヤバい状況だったとその時になって初めて知ることになりました。

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そして、次の日。

地元まで帰る道すがら、とあるパーキングエリアで友達の一人と話をしていると。

『なんかさー……肩が軽くなったわ』と言うと、『それさー、俺も全く同じなんだよ……』と言われ『バイクの友達にも教えてやろうぜ』と言う事になり、早速その友達に電話をしてその神社の大体の場所を教えてあげたんです。

『あれは、確かに効果がある!』と力説すると、バイクの彼は『俺、明日仕事休んで行くわ』との事でした。

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『……うん、その時の会話が俺の聞いたその友達の最後の声』

『えっ?嘘ですよね?』

『いや、ガチ。福岡行く途中、高速で事故って死んだんですわ。居眠りだったんじゃないかなぁ……なんかその頃、よく眠れないとか言ってたらしいし』

『うわー……なんかあったんスかねぇ……』

『やっぱ心霊スポットとかイワクツキってモンは、何か理由があるんだよなぁ……普通に通りがかるとかならまだ良いんだろうけど、面白がって近づいたりしたらダメだったわ。これ以降、どうにもお化け屋敷とかは苦手。肝試しすら嫌』

『まぁ私はお化け屋敷ってアトラクションは好きでも、そういう心霊スポット的なのは行きませんから……君子危うきに近寄らず、ですよw』

『それが正しいよねぇ』

『そうですよ』

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その社長さんから聞いた話はこれで終わりです。

皆さんも、心霊スポットとかに面白がって行く時は、どうかご注意ください。

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