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中編3
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単純な人怖#1

かなり長くなります。

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以前働いていたバイト先での話

私は当時19歳でフリーターしてて、ある個人経営の小さい居酒屋で働いてた。

その店はオーナー(男50代)と、私(当時19)、A男(25フリーター)、B美(40代主婦)の4名で切り盛りしてたんだけど、みんな良い人ですごく働きやすかった。

だけどある日A男が正社員としての就職が決まりそうってことでその月に辞めることになり、あまり忙しくない店ではあったけどやはり3名でシフトを回すのはきついのでオーナーが知り合いで1人働いてくれる人がいると言ってその人がパートとして加わることになった。

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それがCさんだった。

Cさんは30代後半くらいの女性で身長は150くらいしかなさそうだけどかなり太っててメガネで白髪混じりの頭をしてた。

初出勤時の自己紹介では体躯に見合わず小さな声で、

「Cです。よろしくお願いします。」

とだけ言って俯いて固まってしまった。

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オーナーと2人になった時Cさんについて色々聞いてみた。

私「Cさんて人見知りなんですかねー?今まで接客業とかしたことあるのかな?」

オーナー「あー、Cちゃんは人見知りというかそれ通り越して対人恐怖症に近いかもね。俺の前の職場で出会ったんだけど今までまともに働いた経験は無いと思う。」

オーナーの前職はカウンセラー的なやつだったと思う。

私「え、それってCさんカウンセリングに来た患者ってこと?それに対人恐怖症って接客無理でしょ。なんで雇ったんです?」

オーナー「Cちゃんには主に中の洗い物とかドリンク任せるから接客はしないよ。ただバイト仲間と触れ合って少しでも人と普通に話せるようになればいいと思ってさ。」

オーナーは面倒見はいいが少々お人好しすぎる面もある、私はため息を吐いた。

オーナー「まぁそんなため息吐かずにさ、私ちゃん色々教えてあげてよ。B美さんも優しいけどCちゃんより年上だし、たぶん最初は年下の私ちゃんの方が接しやすいと思うんだ。」

オーナーにそう言われた私は渋々承諾し次の出勤からCさんに話しかけた。

私「おはようございます。私が色々仕事説明するんで、分からない事があればなんでも聞いてください!」

C「…はい」

Cさんは思った以上に無口でピクリとも表情を動かさないため話を聞いているのかすら分からない

業務は教えてもメモを取らず何度も同じ間違いを繰り返すのでその都度分からない事は聞いてくださいねと言っても聞いてこない。

まぁまともな職経験がなくコミュ症なら仕方ない、最初はそう思って耐えたが2ヶ月経ってもCさんは少しも変わらなかった。

私もいよいよ限界が近づいていたが意外にも私より先にオーナーがCさんを呼び出した。

オーナー「Cちゃん、私ちゃんは業務の合間を縫って仕事を教えてくれてたよね?もちろん俺やB美さんも。人に聞いたりするのが苦手なのは知ってるけど今のままじゃ何も成長できないよ。教わったことを忘れてミスしてしまうならメモを取ろうよ。あと何か教えてもらった、ミスをカバーしてもらった時はありがとうを伝えなきゃだよ。」

怒鳴るようなことはなく単に諭すような口調だったがCさんにはかなり応えたらしく、何も言わず店の裏口から飛び出して行ってしまった。

オーナーも頭を抱え、B美さんは気まずい表情をしている。

その空気に耐えかねた私は裏口からCさんを追った。

続く

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