怖い話 実話の一覧はこちら
これは 中学最後の冬休みのある日の出来事でした。
この日は、両親は3泊4日の旅行で出かけていました。
勿論、旅行には僕も誘われましたが、
高校受験勉強のラストスパートをかけなければならない時期であり、
旅行に行くことを断りました。
僕は一人っ子なので、家には僕一人だけです。
普段からうるさい親が居ない事に 僕は ちょっとした嬉しさを感じていた。
禁止されたTVゲームもPCも、気が済むまでやりまくり、
勉強も ほとんど手をつけていませんでした。
夜の8時頃でした。
僕は 居間で静かにTVを見ていた。
突然、家の電話が鳴る。
テーブルに置いてあるコキを手に取る。
「もしもし?」
「あたしシズコ。 今から亮君の家に遊びに行くからね。」
ここで、電話が切れた。
因みに 僕の名前は亮。
電話をかけてきた声の主は 老婆のような声でした。
なんだろ。と思いながら、再びTVを見る。
2時間ほど経っただろうか。
また電話が鳴る。
「もしもし?」
「あたしシズコ。今、●●●美容院の前にいるの。必ず亮君の家に遊びに行くからね。」
ここで電話が切れた。
●●●美容院は 僕の家から徒歩20分ほどの場所でした。
僕の家の住所を知ってる 親戚の人のいたずらなのかと思いました。
よく、これと似た、メリーさんとかありますから。
20分ほど経った。 また電話がかかってきました。
「・・・もしもし?」
「あたしシズコ。今、●●●公園のベンチの前にいるの。必ず亮君の家に遊びに行くからね。」
ここで切れた。
●●●公園は 僕の家から徒歩10分ほどの場所であった。
イタズラでも気味が悪すぎるなと思い、
少し怖がりながらも 再びTVを見る。
10分ほど経っただろうか。
電話が鳴る。
「・・・」
「あたしシズコ。今、両君の家の前に着いたよ。今から入るからね。」
ここで切れた。
恐怖に圧倒され、頭が真っ白になった。
少し半泣きになりながら、慌てて2階へ走り出す。
どう思ったんだろうか。 母さんの部屋へ入り込み、
ドアのカギを閉め、近くにあった毛布を身体全身にかける。
手には コキをもっていた。
電話が鳴る。
僕は出るのをためらったが、出ないと相手に何されるか分からない
そんな気持ちから無意識に出る。
「・・・」
「あたしシズコ。今、亮君の後ろにいるよ。」
「ごめんなさい!やめてください!」
泣き叫ぶ僕。
すると、老婆の優しい声が聞こえた。
「亮君元気だった? 勉強頑張ってね。風邪引かないようにね。」
すると、電話が切れた。
僕はしばらく硬直状態が続き、
何分か経ち 意を決して毛布からやっと顔を出す。
そこには何の変哲の無いいつもの母さんの部屋だった。
次に、後ろを見る。
そこには押入れがあっただけであった。
ここで 僕は自分の部屋に入り、
いつも行っている徹夜勉強も止め、すぐに寝た。
次の日、両親が帰って来きました。
僕は 昨晩のことを一生懸命に話します。
父さんは笑っていたが、母さんの様子が可笑しかった。
その夜、ご飯を食べ終わった僕を母さんが呼び出しました。
「なに?」
母さんは黙って 僕を母さんの部屋に連れて行きました。
母さんが指を刺した。
その先には 押入れがあった。
母さんは 黙って押入れを開けると、
そこには不自然に置かれた人形があった。
「なに・・・これ?」
聞くと、僕の母さんの母さん。つまりおばあちゃんが
昔、事故で亡くなる前に作ってくれた手作り人形だという。
この家に引越しをする際に 突然、行方不明になった人形だったという。
そのおばあちゃんの名前を聞くと。
静子(シズコ)であった。
僕は おばあちゃんと会った記憶も無い。
僕が幼い頃に 交通事故で亡くなったという。
丁度、昨日がおばあちゃんの命日であった。
「亮ちゃんの話が本当なら きっと天国から帰ってきたんだろうね。」
母さんは 少し嬉しそうな顔をして 僕にそう言った。
怖い話投稿:ホラーテラー S.Kさん
作者怖話