また高校の時の話。心霊じゃなく人の話だが、別に人間怖いって話でもない、ただ単に気味悪いってだけの話。
俺は高校の時弓道部に所属していた。そこの〇先輩(以下〇)って人の話だ。
〇は同級生はおろか後輩にも敬われた態度をとられることはなかった。(仲良くない人にはへこへこし、少し仲良くしてくれる人には見下した態度をとるため)
なので俺ら(見えない人さんに出たAも同じ部活)みたいな来る者拒まず去る者追わず、なタイプの集団しか会話する相手がいなかった。
ある日、〇は彼女がいると言ってきた。部活の皆はへっ!?って思ったね…
俺が言うのもなんだが、〇は顔は良くない、前述の通り性格もそんな良くない。なのに彼女?驚いたよ…
〇の彼女を△さんとするが、出会いは(うろ覚えだが)どっかのテニスコートで△さんが打ったテニスボールが〇の顔面に直撃し、△さんが「大丈夫ですか」って言って、流れ出た鼻血を白いハンカチで拭ってくれたんだとさ。ロマンチックだけどどこのドラマだよ…
その△さんはカワイ娘ちゃんの金持ちの箱入娘らしい。
そんな上手い話があるかと思い、部活一同が嘘か妄想かその手のゲームのやり過ぎかと思った。
だが彼女がいるという話は本当のようだ。
恋話が大好きな女子が〇に△さんのことを聞いたんだ。そしたら
〇「△は通信教育だから友達が少ないんだよ、メル友になってくれないか?」
って△さんのメルアドくれたらしいんだよ。勿論△さんから返事が来る。
だから〇に彼女がいるということは信じよう…ということになったんだが…
△は料理が上手い。
△の家は弓道場がある。
△は弓も上手い。
△は琴を弾ける。
△は薙刀を習っている。
△は自分のことを旦那様、と呼ぶ。
△の母も自分達のことは公認である。
△はヤキモチ焼きで自分が他の女性を思わせるような発言をすると薙刀を奮い、自分はそれを白刃取りしたことがある。
△と自分は赤い糸で繋がっている。
ここまで来ると気味悪くなった。きっと浮かれ過ぎて半分以上嘘を織り交ぜてしまっているんだろうと思うことにした。
あまりしつこいので俺も冗談で
俺「その赤い糸、俺が切っちゃったりしてwww」
〇は半ば怒ったそぶりをみせ、ここまでは良かった。〇も冗談で怒ったふりをしているだけだから。
だが…
何を思ったのか〇は矢をつがえ軽く弓を弾き、その先を俺に向けてきた。
軽くとはいえ、放てば刺さるのは確実だった。
俺は懸命に矢先をそらして怒鳴る。
俺「何してんすか先輩!」
〇「大丈夫だ、放さないからww」
そういう問題じゃない。矢をつがえた弓を冗談だろうがなんだろうが人に向けてはいけないのは弓道知らなくても常識。
しかもこの間、違う高校でマキワラ(米俵みたいなのに矢を放つ練習)をやっていた弓道部員が、マキワラの後ろを走っていた野球部員の首に矢を当ててしまったらしい。(基本的にマキワラは弓の長さ分離れてやるだけなので、そんなに距離はない。どうしてマキワラの後ろにいってしまったか謎)
そんなことがあったにも関わらず平然としてやってのけた〇。正直何なんだろうコイツ…って思った。
それからしばらくして県大会。うちの弓道部は特に強いとも言えなかったので敗退。
その夜打ち上げをすることになり、夜中に特定の部屋に集まりジュースを飲んだ。
その時〇に△さんからメールが来た。
△[お疲れ様です。旦那様]
勝ち誇るようにそれを見せびらかす〇。
俺(へぇ〜マジで旦那様ってんだ…)
そるから更に数日後…△さんとメールをしていた女子から驚く話を聞いた。
女子「私、△さんとメールしてるでしょ?」
俺「うん、知ってるけどそれがどうしたの?」
女子「最近わかったんだけど、このメルアド……
〇先輩のお父さんのパソコンのメルアドなの」
なんでその女子が〇の父親のパソコンのメルアドを知っているのか聞けなかったが、多分父親が△を名乗る人物とその女子のメールのやり取りを見つけ、父親がその女子にメールを送ったのだと俺は推測した。
つまり、〇が自分でメールを作っていたということ…?
その子がそのことを〇に詰め寄ったら逆切れされたらしい…
結局彼女がいるってのも嘘だったって訳。いや、妄想なのか?よくわからないが、もし俺の推測通り〇が自分でそのメールを送信予約していたのなら………気味悪いよなぁ
体験している間は日常に流されてなんとも思わなかったけど、今になってこうやって文章にしてみると以外と怖い…
怖い話投稿:ホラーテラー のののさん
作者怖話