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短編2
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偽りの

私は以前、生命保険の営業をしていました。

その時に、1年先輩の方から聞いた話です。

先輩と同期入社で、別の支部で働いていた女性(Aさんとします)の体験。

ある日Aさんは、自分の担当地区内を、一人で飛び込み営業していました。

あるアパートの一室を訪ねると

「保険の説明を聞きたい」とのことで、家に上げてもらうことができました。

Aさんはとてもうれしかったそうです。

私にも経験があるので、気持ちは良くわかります。

飛び込みの営業などしても大抵は門前払い。

「○○生命ですが…」

と言っただけで

「ウチは結構です」

と、インターフォンは切られてしまいますから。

なのにそのお宅のご夫婦は二人とも優しく良い方で。

保険の設計書を作るのに必要なアンケートをすんなり書いてくれ

「保険に入りたいから、次回はプランを作って持って来てください」と。

(これは契約がいただけそうだ…!)

Aさんは喜んで会社に戻りました。

数日後。

保険の設計書を持ち、アパートを訪ねましたが、お留守。

せっかくの見込み客なのでその後もマメに足を運びましたが、アパートのご夫婦はいつも留守でした。

しばらくして、Aさんは新聞で衝撃的な記事を見つけました。

そして、いくつかのことを理解したと。

あぁ、だからご主人は、奥さんを保険に入れたいと言っていたのか…

最後にアパートを訪れた時に漂っていた、

あの今までに嗅いだことのない嫌な臭いは、

このせいだったのか…

『アパートの一室で女性の遺体が見つかる。

犯人の夫は、遺体を押し入れに隠していた』

この事件がきっかけで

Aさんは、仕事を辞めたそうです。

仲がよさそうに見えた夫婦と、アパートの前で嗅いだ異臭。

嫌な記憶が忘れられなくて営業に回ることが、できなくなってしまったと。

怖い話投稿:ホラーテラー ROSYさん  

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