数ヶ月前のある日、私は4歳になる息子に聞いてみた。
私「ママって可愛い?」
息子「うん、可愛ぃ」
子供の返答に嬉しくなり更に聞いてみた。
私「どこが可愛い?」
息子「お耳!」
私「耳・・・ね・・・ははは・・・」
少しガッカリしている私の後ろを見て息子がいった。
息子「でもママの後ろにいる女の人、お目目がないよ?どうして?」
すぐに振り返ったが誰もいなかった。
私「何かいたの…?」
息子「うん、ママの後ろにお目目のない女の人がいるよ!」
息子「でも足がないよ!それになんかお顔がすっごく怒ってるよ。どうして?」
急に不可解なことを言う息子に戸惑っていると
私の横を生暖かい空気が通り過ぎていった。
息子「あ、あの女の人、押し入れの中に入っていっちゃった。出てこないや。」
息子が指差した方向にあった押し入れは、この家に引っ越した時から
使う必要性が無かったため放置していた押し入れだった。
しかし、子供が言うことなのでさほど気にしなかった。
でもその日からほぼ毎日、私の化粧品や手鏡の位置が変わったりフタが開けっ放しになっていたりした。
私は几帳面でそういうのはキチンとやる方だったので、不思議に思っていた。
でもそれから数週間後のある日、買い物から帰ると、あの日のことが少し気になったのでまた息子に聞いてみた。
私「あの女の人まだ押し入れにいるの?」
息子「うん、でもお母さんが出かけると押し入れからニコニコして出てくるよ。」
息子「僕を見つけるといつもおいでおいでって押し入れの側で手招きしてくるよ。」
息子「でも僕ね、ママに知らない人にはついて行っちゃダメって言われてるからいかないよ!」
息子「でもこのごろ毎日お母さんの部屋に入ってくよ。どうして?」
黙って息子の話を聞いていた私だが、あまりにも必死に息子が話してくるので、どうしても嘘とは思えなかった。
主人に事情を話すと意外にも納得してくれた。
そして4日前に家族でテレビを見ていたときに、私の部屋からバリンッと大きな音がしたので見に行ってみると、
化粧台の上にある大鏡が割れていて、化粧品が辺りに散らばっていた。
部屋の窓の鍵はちゃんと閉めていたし、ガラスを割られた形跡も無かったので、
その息子がいう女の仕業ではないかという事が頭をよぎった。
その時、後ろからついて来た息子があの押し入れの方を指差していった。
息子「あの女の人が押し入れからお顔をだしてママを睨んでるよ。すごく怒ってるみたい。どうして?」
この事がきっかけで、我が家ではもうすぐ引っ越す相談をしている。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話