短編2
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おはらい

 私が高校生だった頃のお話。

 創立七年とわりと新しい公立校ながら教職員が六名も亡くなっている…。

 しかも毎月毎月、学校行事ながら知っている人はそこそこの心霊スポットへ行かなければならず、私の数代前ではその途中蜂に襲われ小さく新聞記事に載ったりした。

 そんな学校に通い出してしばらくしてスポットの概要や教員の話を耳にし面白いと思っていたところ、ひょんなことから実に興味深いデータを目にすることになった。

 簡単に述べると地域の学区の高校で一番松葉杖をついている、脚を怪我している生徒が多い、しかも常にいるという事、そして驚くことに校内の庭園は例のスポットから岩を掘削、運び造られたという事実だ。

 程なくして雨の日に限り庭園に乳飲み子を抱いた着物姿の女性を見た、岩にその姿がシミのように浮かぶ等と囁かれだし噂になって行く。

 私には変な形のシミと苔にしか見えなかったがしかし、噂は何か例のスポットと関わりがあるのではと踏み郷土史や区画整理前の地名等を友人とともに調査した。

 結果…例のスポットは城跡で兵糧攻を受け落城した事実。それから学校の周りは昔、仏ヶ○という地名であったこと等、気味の悪い名称は幾つか出たものの噂に直結する情報に出会うことは叶わず、それからも解らぬままだった。

 やがて冬休み前の期末考査二日目の帰り遅く庭園に黒い袈裟を纏う坊主の姿を目にした、もちろん霊の類ではない、数名の目撃者がいたことも後で知る。

 所謂おはらいや供養というやつだ、幾つかの不気味な地名や偶然を無理にこじつければ恐怖感は膨れあがるが、実話なのでこれだ、ここだというオチはない。

 二十年近くも昔の話なのだが、今考えると別の意味でゾッとする。

まず、誰が坊主を呼んだのか、校内への入構の許可を誰がしたのか。

そして、料金は誰が払ったのか、公立高校なのでどういう項目の領収書で落としたのか、誰がそれを許可したのか…。

 なにより神社系のおはらいは数千円からだが寺系は明らかに額が違う、誰かが代わりに支払う等地方公務員を考えると非常に難しい。

 心霊現象という公には不確かとされているものに対して公金が使われたとしたらまさに使途不明金、すでに時効ではあるがこれはこれで怖い。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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