結構強い力で押されたので俺床に倒れた。
その際に掌をガラスの破片で切ってしまい、血が床に滴った。
「オイ!ふざけすぎだろ!怪我しちまったじゃんか!」
思わず叫んだ。
が、俺の怒号はAとBの耳に入っていなかった。
二人の肩が小刻みに震えている。
「オイ!何とか言えっての!」
Aの肩をガッと掴み、何気なくAとBが凝視している先を見た。
看護婦?
車椅子を押している看護婦。
その車椅子は鉄の部分が妙に赤錆ていて人が座るシートには赤黒い何か、血が乾いたような色だった。
俺は思わず懐中電灯を落としてしまった。
その瞬間、金縛りが解けたかのようにAとBが踵を返し、放心状態の俺の腕を掴み、走り出した。
「オイオイ!冗談じゃねーよ!」
「マジかよ!マジで本物!?」
「うるせーよ!黙って走れよ!」
出口まで三人で全力疾走。
本物だったのか?など三人で議論しながら帰った。
もう一度行き、確かめる気力も勇気もなかった。
時刻は一時を回っていた。
家に帰った俺は風呂にも入らずに布団を被って寝た。
普段、朝までノンストップで寝る俺だがその日は違った。
怖い話投稿:ホラーテラー 9尾さん
作者怖話