※過去の心霊体験?いや人の心に恐怖した話です。実話なのですがインパクト・オチなどは期待せず、他の怖い話で満足した後の箸休め的な感覚で御覧頂けると幸いです。
僕が高校三年生、夏休みの思い出です。高校三年生の夏にもなると、同級生の中には18歳になり車の免許を取った人がちらほら出て来る。(僕は誕生日が年明けなので免許は持ってませんでした。)
当時の僕に彼女はいません。高校最後の夏休みというのに男友達とばかりで遊ぶ日々でした。
そんなある日の夜、クラスメイトのA子ちゃんからメールが入る!
『この前、車の免許取ったよ!今からドライブ行かない?』
実のところ夏休みに入る前、A子ちゃんとは少し仲良くなっていて、ちょくちょくメールや電話をしていた。しかし夏休みに入り学校がなかった為、お互いあまり連絡していなかった。
久々の連絡。A子ちゃんのお誘いメールにテンションが一気に上がった。(A子ちゃん好きっ!とまではいかなかったが中々いい子だなぁ、と気にはなっていたので。)
僕の返信はモチロンOKです。A子ちゃんから『じゃあ今から迎えに行くから準備しててね!』とメールが届く。
この展開はデートでは?急いで風呂に入りながらエッチな妄想は膨らんだ。
『今家の前についたよ!』とメールが届く。ニヤニヤした顔の僕は車の前で落胆した。助手席にはB子ちゃんが座っていた。束の間の夢が覚めた瞬間だった。
僕は「久しぶりだね!元気だった?」と挨拶しながら後部座席へ乗り込む。車は発進する。
目的地なく進む車内では「これからドコ行く?なにする?」といった会話がメインだった。僕は「Cくんも呼ばない?」と提案した。
CくんはB子ちゃんの事が好きでした。僕は恋のキューピットになりつつ、自分もA子ちゃんと二人きりになるチャンスを作る計画だった。
車でCくんを迎えに行く。Cくんが合流した所で再び車内では「今から何する?」的な会話だった。新たに加わったばかりのCくんが「心霊スポットに行かない?」と。
僕は過去に心霊スポットに行った事がなかった。なぜならビビリだから。モチロン反対した。だがB子ちゃんとCくんは僕の反応を見るのが楽しいらしく「ハイ!心霊スポット行き決定!」と盛り上がった。
結局、心霊スポットへ行く事になった。車内では「でも、どの心霊スポットにする?」と。(僕の地元には心霊スポットが多数存在する。)またしてもCくんが「○○病院跡がよくない?」と言った。
○○病院跡は、そこそこ有名な心霊スポットであり、過去に心霊番組で訪れたテレビクルーが全員死んだという噂のある場所だ。
みんな行った事のない場所だったので、一度行ってみよう!との結論が出た。いざ出発!だが、大まかな場所しか知らなかったので○○病院跡付近のコンビニで場所を聞く。
コンビニの店員はよく行き方を聞かれるらしく、スラスラと丁寧に教えてくれた。コンビニから車へ戻る途中、A子ちゃんが僕に近づいて来て
「大丈夫だよ!私少し霊感あるから、やばくなったらみんなで帰ろ!ねっ!」と言って車へ小走りで向かった。
その時のA子ちゃんはすごく可愛かった!僕はドキドキした。
コンビニから○○病院跡へ向かう。店員曰く入り口は二ヶ所あるらしく僕達は近い方を選択した。車で進める所まで行き、そこからは歩いた。
民家の間を通り抜けて進むと、コンクリートからちょい山道のような場所に変わる。○○病院跡は山道の登り坂の先にうっすら見える。
Cくん、A子ちゃん、僕、B子ちゃんの隊列になる。僕はA子ちゃんの服の裾をつかみながら進む。山道を登っていくと下にいた時には見えなかった景色があった。
山道からコンクリート道で病院へ続く道の境目には赤い鳥居がある。サイズは普通の神社にある鳥居よりやや小さめだ。付近に神社などないのになぜ鳥居?
僕達は立ち止まる。だが、Cくんは一人鳥居の方へ歩き出す。鳥居へ進むCくんを見てA子ちゃんが僕に
「Cくんを呼び戻してよ」と。
僕は「おーい!C!一回戻ってこーい!」と叫ぶ。
戻って来たCくんはどうかしたのか?と尋ねた。
A子ちゃんが「ちょっと嫌な感じがするから、ここで引き返したほうがいいよ」と言った。
みんなが少し沈黙した後、Cくんがお尻や太ももをパタパタ叩きながら「財布落とした。」と言い再び鳥居の方へ戻る。
草むらをガサガサあさり「あった!」と叫ぶ。だが何を思ったのかCくんは鳥居までダッシュ!!
片手で鳥居に触れ、反対の手はピースサインで「イェーイ!!」 と叫ぶ。
僕は「バカ!早く戻って来い!」と。トボトボ歩きながら帰って来るCくんを待ち、四人で車へ歩いて戻る。
車に乗ると時刻も深夜を過ぎていた。そろそろ解散しよっか。となりCくんの家へ車は向かう。
車内で、僕やB子ちゃんは「怖かったね!」と。Cくんは「全然やったし!怖くねぇ」と。A子ちゃんは固まった表情で無言。
何事もなくCくんを送り別れる。次は僕の家に向かい車は走りだした。すると先程まで無言だったA子ちゃんが語りはじめた。
「実はCくんが鳥居に触って戻って来るときにCくんの肩に赤いモヤみたいのが付いてたの。それから赤いモヤはCくんと一緒に車内について来たの。」と言った。
怖くなった僕は「じゃあ、車止めておりた方がよくない?」と質問した。
A子ちゃんは、
「大丈夫!さっきCくんと一緒に車から出ていったからぁ!」
僕は助かった!って思ったのだが、じゃあCくんは?
僕はA子ちゃんに対してもの凄くひいてしまった。自分が助かればいい的な考えが怖かった。
その後、僕は家に着くまでの間、先程のA子ちゃんのように無言だった。終
最後まで読んでくれて有難う御座いました。
ちなみに、Cくんは以前投稿した[参]に登場する車のドアを叩く友人であり、今も元気に暮らしています。m(__)m
[ビビリィ、投稿者へ返り咲きの巻]
怖い話投稿:ホラーテラー ビビリィさん
作者怖話