中編3
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ごめんねシホ

私が中2の冬、親友のシホが死んだ。心臓発作だった。

お互いの両親も友達だった為によく家族ぐるみの付き合いもあり、両家で旅行へ行ったり、泊まりなんかも頻繁に行っては一緒に風呂に入り深夜まで語り合った。

彼女が亡くなった日も、私が泊まりに行く約束をしていた。

その日は平日で学校があり、彼女とはクラスは別だったのでそれぞれ行動していた。

私は移動教室の授業が終わり教室へ戻る為に、別の友達と階段を降りていた。

1段降りたところで、耳元ではっきりと、

『オマエ コロス』

とドスの効いた男の人の声がし、『えっ?』と振り向こうとした瞬間、背中を物凄い力で押され、私は階段を転げ落ちた。

駆け寄ってくる友人達。

左足に激痛。

そのまま病院送りになり、結果はただの骨折で済んだが、これでは泊まりは当分お預けだ。

騒ぎを聞いたシホは心配して私の家まで来てくれて、

『ちゃんと治してな!毎日介護に来るから(笑)』

なんていつもの調子で帰って行った。これが生きているシホを見た最後だった。

その日シホは入浴中、突然の心臓発作を起こし亡くなった。

年頃なので1人で入浴していた事と、普段からの長風呂で家族が異変に気づくのが遅れたらしい。

私は涙が枯れるほど泣いた。もしヘマしないで私が泊まりに行けてたら、きっといつもの様に一緒に風呂に入っただろう。

私が助けてあげれたかもしれないのに…と。

あの声の主は誰だったのか…。

それから月日は流れ高校を卒業し、私は地元を離れ都内の専門学校に通い始めた。

久しぶりに地元に帰った時、同級生が集まる機会があり、あの当時私と階段を降りていた友達から奇妙な話しを聞かされた。

『もう話しても良いかな…と思って…』

と口を開いた友達の話しはこうだった。

あの時、声はその娘にも聞こえた。振り向くと40才前後のオッサンが私の背中に手をかける所だった。危ない!と言う間もなく、私は転げ落ちた。と…

でも少し違ったのが、私には声は『オマエ コロス』と聞こえたのに対して、その娘にははっきりと『ムスメ カエセ』と聞こえたと…。

それからもうひとつ、シホの家族にまつわる話し。

シホの現在の父親は継父であり、実の父親では無いこと。実の父親は彼女が赤ちゃんの頃に亡くなっていた。

思い返せば記憶を辿っても、シホと私の記憶は小学校に上がる頃位からであり、それ以前の彼女との記憶は全く無かった。

私も頻繁に家に行っていたが、お仏壇など無かったので全く知らなかったし、当然おじさんが父親だと思っていた。

それから1人になって冷静に考えたのだが、もしかしてシホは実の父親の存在を知らなかったんじゃないだろうか。だからシホの実の父親はもしかして私に嫉妬していたのかもしれない…。私達があまりにも仲が良かったから…。

もっと娘の成長を見たかった。でも自分が父親なのに存在すら知られていない。けど私は四六時中シホと一緒に居る…。それなら継父を、とも思ったりもしたんだが。どういう訳か嫉妬の矛先は私に向けられた。

でも私を殺せ無かったから、シホを連れて行ってしまった。

もちろん上記は勝手な憶測だが、自分を責めないではいられなかった。

いま現在私は誰にも心を開けない。仲良くするのが怖いから…。地元にもしばらく帰っていない。

シホはあっちでお父さんとうまくやってるだろうか。

ごめんね許してシホ

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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