また長文です。今回は今までで一番長いです。
長くて読みにくいかも知れませんが、よかったら読んでください。
そして誤字、脱字があったらすいません。
続き・・・
僕は今新幹線に乗っている。
手紙の内容が気になり、会社を休んだ。
そう、送り主の住所に向かっているのだ。
送り主の住所。それは以前から知っていた。
封筒に書いてあったからだ。
以前から気にはなっていたが行く気にはなれなかった。
遠いのだ。
某県の田舎町。なぜ送り主はわざわざこんな所から手紙を送ってくるのだろう。
新幹線での移動中、僕はそのような事を考えていた。
「やっと着いたか、まだ道のりは長いけど。
仕方ないか。気になって仕方ないしな。」
その場所に行くには駅から電車に乗り継ぎ、某駅で降り、そこからバスで行くという道のりだ。
本当に田舎だな。空気が綺麗なのが分る。
僕が住んでいる所とは比べられないほど自然豊かな所だった。
ただどこか懐かしい感じはした。何故だろう・・・
「んーと・・・ここでバスを降りて、こっちかな?」
パソコンで調べた住所への地図を頼りに、僕は送り主の住所へと向かった。
「ここかな?え?マンションじゃないじゃん。
普通のアパートじゃんか。アイツ見栄張ったな。」
二階建てのごく普通のアパート。
だが見た目は古そうな感じ。築30年と言ったところか。
「なんか想像してたのと全然違うな・・・。
でも田舎だしこんなもんか。」
なんて独り言を言いながらアパートに向かう。
部屋は202号室。
表札はない。
今どき普通か。僕の家もないしな。
鍵を開け部屋に入る。誰も居ないようだ。
辺りを見渡すと本当に殺風景な部屋だった。
間取りは1LDK。結構広い。必要最低限の物しかないから余計広く感じる。
和室のリビングにポツンとテーブルだけ置いてある。
自然とそこに足が進んだ。
そのテーブルには手紙らしきものとノートが2冊置いてあった。
僕はノートよりもまず手紙が気になった。
「手紙か。送り主が書いたのかな?。
ここに置いてあるってことは読めってことだよな。」
僕はまず手紙を読み始めた。
手紙の内容
「〇〇。これはお前に残してやれる最後の手紙だ。
これを読んでいる頃には俺はもういない。消えてしまっている。
それは俺がはずれだったから仕方が無いんだ。
どうすることも出来ない。
お前が当たりだといいんだが・・・。
それはまだ分らない。
俺は心からお前を応援していた。俺が出来なかった事や、後悔している事。
それをお前にやって欲しかった。最初はびっくりしただろう。
俺も最初はびっくりしたさ。こんな事が現実で起こってるんだからな。
だが俺達はこれを受け入れることしか出来ないんだ。
これから最後の指示をする。
お前なら必ずやる。やれる。
もし当たりならお前は夢を叶えられる。
はずれなら残念だが俺と同じ運命を味わうことになる。
俺はお前が当たりであって欲しい。
それが今の俺の夢だ。」
僕は手紙を読み、ただそこに立ち尽くすしかなかった
「確かにこんなことが現実で起こっているのは不思議だ。
でも今までの手紙は事実。存在している。
当たりとかはずれって何のことだ?
最後の指示って何なんだ・・・・」
僕はそんなことをぼやきながらもう一枚の手紙を読んだ。
手紙の内容
「これらをやることはお前の義務だ。俺もそれに従った。
これをすればこれまでのことが理解できる。
全て繋がる。辛いと思うが仕方ないんだ。
我慢してやってくれ。
① 横にあるノートを読む。(1と書いてあるノートから読むこと)
② 押入れを開ける。
③ 3月31日になったら今のマンションを解約しここに来る。
④ 家具は置いていく。
⑤ 誰にも行き先を告げたらいけない。
⑥ 4月1日になったら新聞を見る。
⑦ はずれなら最後の日にこの家の鍵を今のマンションに送る。
これだけだ。①と②をやれば大体理解できるだろう。
いや、理解しなければならない。
⑥でお前が当たりかはずれかが分かる。
いいか、絶対に指示に従うんだぞ。
俺はお前が当たりなのを願っている。
じゃあな〇〇。」
手紙は何かで濡れたように所々シミになっていた。
手紙を読み終わり僕は混乱するしかなかった。
なんだこの展開は・・・
まったく理解ができない。でも嘘ではなさそうだ。
理解するためにはこのノートを見れば分ると書いてある。
正直怖い。何が書いてあるんだ・・・
でも読むしかない。読まなければいけない気がしたんだ。
ノートは2冊ある。1と書かれたノートと、2と書かれたノート。
まずぼくは指示通り、1と書かれたノートを手に取る。
僕は震える手を必死に押さえ、ノートを開いた。
「4月1日。僕はこのマンションに越してきた。
念願の家具付きの部屋だ。
前の住人が置いていったらしい。それも僕の趣味にピッタリな家具だ。
いい部屋を手に入れた。
あーこれから社会人か・・・不安もあるが頑張ろう。
夢である有名作家になるために。」
日記だ。このノートは日記が書いてある。
「コイツも日記付けてたんだな」
だがこの時ある疑問が僕の頭を過ぎった。
ん?待てよ・・・4月1日・・・僕もこの日に今のマンションを借りた。
え?ただの偶然か・・・偶然にしては出来すぎてる。
就職がギリギリで決まったため、希望の物件がなく焦っていた所に目に止まった物件。
それが今のマンションだ。
嬉しかったからよく覚えている。
「偶然だよな・・・これだけじゃわかんないしな」
僕は続きを読むしかなかった。
一日一日の日記が細かく書かれていた。
黙々と読む。だがある日の日記を見て僕は言葉を失った・・・
「4月12日、昨日変な封筒が来た。宛名はない。
そこには手紙が入っていた。
何故か僕の名前を知っている。気持ちが悪い・・・
嫌がらせか?霊的なものなのか?
どちらにせよ気持ちが悪い・・・・
返事よこせと書いてあるがどうしよう。
とりあえず様子を見よう。」
!!!!!
コイツにも手紙が来たのか・・・しかも同じ日に。
だが僕と違うことがある。それはコイツはその日に手紙を読んでいること。
やっぱりただの偶然か?だがその考えはすぐに消えた。
「4月20日、事故にあった。怪我は大したことはない。
だが先日に来た手紙に、今日事故に遭う事が書いてあった。
これはどういうことなんだ。なんで知っているんだ。
また送られてくるのかな・・・。怖い・・・。
今日誰なんだと送り主に手紙を送った。
送らずにはいられなかったんだ。
今日は寝れそうにない」
「マジかよ・・・。コイツも同じ日に事故に遭ってる。」
でも少し違う。そう、Aが出てこないのだ。
僕の時はAが送り主に手紙を出した。
だがコイツは自分で出している。
でも内容は似すぎている・・・
また日記を読む。読むにつれて、僕は考えたくない事が現実に起こっている気がした。
「3月12日、送り主から封筒が来た。
今度は鍵が入っていた。手紙はこれで最後らしい。
僕はこの送り主に感謝してる。
消えるなんて言うなよ。僕は一言お礼が言いたいんだ。
来いといわれなくても行くさ。
封筒の住所までは遠いが僕は行く。
送り主が誰なのか知るために・・・」
この日記でこのノートの日記は終わっている。
結局僕は最後まで日記を読んだ。
「送り主は・・・僕だったのか。」
もう確信した。この日記の作者は僕だ。僕が書いたんだ。
正確にはもう一人の僕が・・・送り主は僕だったんだ。
筆跡が似ていて当然だ。僕なんだから。
これから起こる事を知っていて当然だ。
なんたって僕なんだから。
それならば今起こっている事の説明がつく。
もう僕は2と書かれたノートを手に取るしかなかった。
ただ1と書かれたノートとは違い、ボロボロだった。
「4月1日、僕ははずれだった。そうか、僕ははずれなのか・・・
新聞を見たら去年の生年月日になっている。
これが当たりかはずれかの判断か・・・
指示通り家具は置いてきた。当たりならどうなるのだろうか・・・
でもはずれの僕にはもう関係ない話だ。
そして僕ははずれ。もうあのマンションには帰れない
今までの努力を無駄にすることなんて出来ない。
少しずつ確実に変わっているのは事実だ。
僕はこれから僕のために行動する。前の僕がした様に。
それが運命なのだから・・・」
だから僕好みの家具だったのか。そりゃ当然だ。
選んだのは僕なんだから。
だから送り主は最初に「いい物件だろ?」と言ったのか。
当時はあまり気にしていなかったが、今は何故気付かなかったんだろうと思う。
また一日一日細かく日記が書いてある。
日記の内容は読んでいて悲しくなる内容だった。
そして4月10日の日記
「4月10日、今日僕は僕に手紙を出した。
前の僕がこの日に手紙を出していたから12日には届くだろう。
僕の性格上強い口調には弱いからな。怖くなって僕は手紙を返すだろう。
前の僕もそうしたから確実だ。
ごめんな・・・怖いよな。僕も手紙が来た時は怖かったよ。
でもこれもお前の為なんだ。
よし、ここからが本番だ。頑張るぞ。」
ここからの日記には僕への応援メッセージと送り主の心境が書いてあった。
中にはクシャクシャになっていたものや濡れてシミだらけの日記もあった。
そして日に日に字が弱弱しくなっている。
僕は涙をこらえる事のが精一杯だった。
そして日記は3月10日の日記に。
「3月10日、僕ももう終わりだ。役目が終わったんだ。
今日最後の手紙を鍵と一緒に出した。明日には僕は消えるんだなきっと。
全ての日記もここで終わっている。それも事実。
だから僕は明日には消える。
もっと生きたかった。生きて夢を叶えたかった。
まだやりたい事がいっぱいあったのに・・・
やり残した事もいっぱいあったのに・・・
生きたいとこんなに思ったのは初めてだ。
出来ることならもう一度やり直したい。
生きたいよ、もっと生きていたい。
でももう無理だ。僕ははずれなんだから。
悔しいけど、僕はここまでだ。
最後に僕、いや〇〇。お前は僕たちの希望なんだ。
夢なんだ。
僕たちの分も生きるんだ。
そして僕たちの夢を叶えてくれ。
生きるという夢を・・・
そして一日一日を大切に生きてくれ。」
このノートに書かれた最後の日記だった。
僕はもう涙をこらえる事が出来なかった。
送り主はこんな気持ちで僕に手紙を書いていたのか。
そう思うと僕は感謝の気持ちでいっぱいになったんだ。
でも僕は日記を全て読み終え、気付いたことが2つあった。
1つ目は1と書かれたノートに書かれていた日記。
この日記に書かれている起こった事と、
僕に送られてきた手紙(これから起こる事が書いてある手紙)の内容は一致する。
2つ目は2と書かれたノートの日記の内容。
送り主は「前の僕」と書いてある。
そして最後の日記には「全ての日記」、「僕たち」と書いてある。
僕は置かれている手紙の内容を思い出す。
②押入れを開ける。
僕は涙を拭いながら押入れに手をかける。
「まさか・・・嘘だろ・・・」
そこには何十冊のノートと箱に入ったたくさんの手紙があった。
この時僕はまだ知らなかった。
僕はまだほんの序奏を見ているに過ぎないことを・・・・
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話