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短編2
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瓶詰めの手紙。二本目

…手紙一枚目…

お父様、お母様。僕がこのような罪深き人間に育った事をお赦し下さい---。

島に打ち上げられて数週間。

僕はただひたすらにアキの側にいました。暑い昼間も孤独な夜も風の日も雨の日も…

アキはいつもお父様とお母様を心配して居られます。可笑しな話ですよね。

自分の身を案じるのが普通なのに、お父様とお母様の身を案じています。

とても良く出来た子です。兄としてもなんだか嬉しいです。

それに比べて僕はとても罪深き人間です。

何も無い此の島ではアキとの時間が唯一心が休まる時なのですが、近頃はアキの笑顔を見る度、アキの優しさに触れる度に僕の胸がザワザワしてドキドキしてくるのです。

夜には、お互い身を寄せ不安を慰め合い朝を待っています。しかし、ここに着いてからのアキはとても成長が早いと言うか、妙にたくましく大人びてきているのものだから僕にとっては今や この夜こそが苦しい生き地獄なのです。

…手紙二枚目…

ここ数日、昼間は別行動を取るようにしました。

僕は島の高台に、アキは浜辺にと、お互い島の丁度反対に居て助けが来るのを待っています。

そして、僕は高台で神様に赦しを乞うように自分の罪深さを悔やんで居ります。

神様、どうかこの罪深き僕を罰して下さい。

僕の心を汚してしまうこの世界からひと思いに消して下さい。どうか…どうか…

しかし、今僕が死んでしまえばアキは悲しみ喘ぐことになってしまうでしょう。

それは何よりも重大な事で、避けねばならぬ事です。

あぁ、僕はどうしたら良いのでしょうか…

神様、何故あなたはこのような試練を僕にお与えになったのでしょうか。

僕のこの脆弱な心では到底乗り越える事は出来ません。どうかもうお赦し下さい…

…手紙三枚目…

お父様、お母様。

どうやら助けは来ないようです。もうどの位経ったかもわかりませんが、何年もこの島にいる様です。

きっとあの船の事故で乗員乗客、全員亡くなった事に成ったのでしょう。そう考えると此の世界は、此の小さな島だけの様に思えてきます。

何もない、唯一アキとの時間が在るだけの世界。

そう思ってから数日。僕は決心が付きました。

僕とアキ、二人はこの高台から飛び降り、この小さな世界からお父様とお母様が居る世界に還ります。

怖い話投稿:ホラーテラー ジャムおじさん  

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