短編2
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黒のコート

友人から聞いた話です。Aが仕事の残業で遅くなり今一人暮らしているマンションのエレベーターで部屋に帰ろうとした時です。エレベーターの中に黒のコートを羽織り、茶色のハット帽子を被ってる男性がいました。真夏なのにこんなに厚着して変わった人だなって思い、なるべくその人をみないように一緒にエレベーターで上の階に登っていきました。その人より先にエレベーターを降りたAはちょっと早歩きしながら部屋に戻ろうとしたのですが誰かに見られてるような感じがして後ろを振り向いてみたのですが誰もそこにはいませんでした。怖くなったAは急いで部屋に入りその日はとにかく寝る事にしたのです。

翌朝玄関のチャイムの音がしたのでまだ寝てたAは少し慌てながら玄関に向かいドアを開けると警察官が立っていました。

警官『実はこのマンションで殺人事件がありまして、近所の方々に詳しく話を聞いて回ってるのですが。』

A『殺人!?』

警官『はい。この辺で怪しい人など見なかったですか?昨日の夜とかは?』

この時Aは昨日エレベーターの中にいた男を思い出していた。黒コートの男。しかしAは素っ気なく『見ていません。』と言いました。『見た』と言ってしまうと後が面倒だからだ。多分警察署までいって事情調書だのされるかもしれない。

警察はしばらくAの様子を見た後『分かりました』の一言言い帰っていったのです。

一週間過ぎた頃にようやく犯人が捕まったとニュースが流れていました。その時テレビで犯人の顔が映った瞬間Aの顔が真っ青になるほど衝撃的だったらしいです。

A『ウソだろ…まさか…あの警察官が…?』

一週間前にAの部屋を訪ねて来た警察官が犯人だったのです。前日の夜、エレベーターの中でAに顔見られたのか気になり警察の格好してAの部屋まで行って直接聞きに行こうと思ったらしいです。

もし、あの時Aが警察のコスプレをした犯人に『見た』と言ってしまってたらどーなっていたのでしょう。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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