中編4
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ゴロ様

これはオレがまだ小学生の時に体験した話。多分一生忘れられないだろう。

オレは東北地方のある県に住んでいる。まぁいわゆる田舎です。

当時は祖父母と同じ家に住んでいました。(今は別居)

家のすぐ近くに神社があった。宮司さんかいるわけでもなく古い小さな神社で、神社での祭もわたあめとおでんが並ぶくらいだ。

そこの神社(神社に祀ってる神様?)の事を、大人たちは「ゴロ様」と呼んでいた。

だからオレたちも「今日ゴロ様のところ行こうぜ」って感じで神社でかくれんぼとかしてたんだ。

その日もゴロ様に五人(A、B、C、D、オレ)で遊びに行ったんだ。

その日は空いたスペースでサッカーをやっていた。たまたまAの蹴ったボールが神社の軒下に入ってしまったんだ。

当然Aが取ってこいってなった。Aはしぶしぶほふく前進しながら軒下に入って行った。

ちょっとしたらサッカーボールを抱えたAがものすごい笑顔で出てきた。

なんと軒下の天井に扉のようなものがあり神社の中に入れると言っている。

神社は、祭の日も昼間は小さな出店を出すくらいで神社の中を見たことは一度もなかった。

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神社の中は外観から見た予想よりずいぶん広かった。オレらは珍しい物がたくさん置いてあるのを期待していたのだが、ぜんぜん違った。

正方形の部屋の真ん中には布のようなものがかけてある大きな箱状のものがポツンと置かれていた。

オレは、それを見てからよくわからない不安感でいっぱいだった。五人全員がそうだったと思う。

Aはその不安感を吹き飛ばすためなのか、オレ達の制止を聞かずに恐る恐る布を剥いだんだ。

布の下には古い、しかし妙に雰囲気のある長方形の箱があった。箱の側面には引き出しがあり、小さなタンスのようだった。

よくお札が貼って~~とかあるが、そのタンスにはお札などは貼ってなく、ただ雰囲気のある引き出しつきの箱って感じだった。

その頃には雰囲気にも慣れて、引き出し全部あけてみようかってことになった。

引き出しは全部で8つあった。上から2つずつ四段、オレたちは上から順番に開けていった。

上から三段目まで全ての引き出しは空だった。ただ、各引き出しの中に直接梵字のようなものが一字書いてあるのが不思議だった。

そして最後の段。オレ達は片方の引き出しを開けた。中には、ところどころ茶色く変色した昔の半紙?が入っており何やら書いてあった。

もう片方の引き出しを開けた時のことは良く覚えております。中には幾束もの女のものと思われる髪の毛とお札が入っていました。

「なんだよこれ」 「やべ~よ」 「早く出ようよ」などと言いあっていると突然Aが叫びだしたのです。

あの時のAの目。いつものAの目ではなかった。

オレ達はもう怖くて怖くて我先にと神社から逃げました。

近くにお寺付属の幼稚園があり、そこまで逃げると、和尚さんに「何をやったお前ら!!」と怒鳴られた。

そのまま経典のようなもので体中を叩かれると無理矢理お寺の井戸から汲んだ水を飲まされました。

「よし、お前らん中から荒らされんのはもうない。ゴロ様の中に入ったのかお前ら!?引き出しは開けたんか!?手鏡には触ってないだろな!?」

と怒鳴られました。

引き出しは開けたが手鏡なんか知らない。と伝えると和尚は、

「手鏡を本当に見てないんだな!?良かった!本当に良かった!」と泣きそうになっていた。

オレらが泣きながらAがおかしくなったことを伝えると和尚は、息子さんに「今からゴロ様に行く!お前は〇〇神社から神主さん呼べ!」と言い、神社に走って行きました。

しばらくすると和尚に縄で縛られたAが運ばれてきました。

白目を向いてニタニタ笑うAを見て和尚の息子さんが、経をあげようとすると和尚は

「やめろ!ゴロ様に絶対経をあげるな!本堂にあげることもできん!!神主さんが来るまで何もするな!」と怒鳴りました。

神主さんが来るまで和尚、和尚の息子、オレ達でAを見ていたのですが、白目を向いているAがオレ達を無表情で見渡し、気持ち悪い笑顔をするのが怖くて怖くて仕方なかった。

神主さんはやってくるなり「ゴロ様に魅いられたか!早く払わなあかん!!」

和尚は

「すいません、仏道を生きる私たちでは神を相手にはできません。」と言った。

神主「わかってます。とにかく神社に急ぎましょう。」

Aと僕たちは再び神社に戻りお祓いをうけることになった。

お祓いの内容はオレ達に対しては簡単なものだった。ただAは違った。Aは神主さんに神社の中に入って祓うようだった。

結果的にAは神主さんの神社に移され、1週間ほどして元に戻ったんだ。

今でも、A以外の四人はこの事をよく覚えているがA本人は「なんか俺ゴロ様の中とか曖昧なんだよな~」と言っている。

神主さんにゴロ様がどういうものかは詳しいことは教えて貰えませんでした。

ただ後日五人で和尚にお礼に伺った時に少し話して貰えました。

「あれはな、いわゆる人柱よ。神の怒りを鎮めるために、昔は霊力の高い人や若く綺麗な生娘が人柱になったんだ。この辺ぢゃ生娘が使われとったそうだ。娘たちの無念を鎮めるために、あそこに娘達の髪の毛を納め長い時間をかけて供養しているそうだ。

いくら娘たちの怨念と言っても神の前に差し出された魂だ。普通の怨念とは違う。神には経など意味がない。」

なぜゴロ様と呼ぶのか、人柱になったものが怨念など持つのか、今となっては疑問はたくさんあります。

長々となってしまいすいません。ここのパンドラという話をよんで過去の記憶が一気にフラッシュバックして書きました。(関連性は多分ないと思われますが)

長文、駄文に付き合っていただきありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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