The Nightmere
「ダニエル、何を見た!?何があった!?他の皆はどこだ!?」
「待てよニック。そんな矢継ぎ早に質問したってダニエル困るだろ?」
「……悪かった。」
ダニエルが震える唇をゆっくりと開いた。
「…俺達は、はぐれたお前ら2人を待つために、待機出来そうなポイントを探していた。
そんな時、歩き続けた俺達は、ここに辿り着いたって訳さ…………」
「ダニエル、奴の姿を覚えているか?」
「…ああ。見た目は普通の青年だった。初めはこの廃墟の住人かと思った。
…背丈は俺達と殆ど変わらない。だが、その両手は異様にでかく、手の先端は鋭利な斬馬刀になってた…
…なあ、ニック!?知ってるんなら教えてくれ!あいつは…あの化け物は一体何なんだ!?」
「ナイトメア…」
「ニック、またそれかよ?
さっきもお前にその話を聞かされたが、俺は長いことこの生物調査班に居るが、そんな化け物がいるなんて情報は聞いた事もないぞ…」
「ナイトメアは、政府の最重要極秘危険生物に指定されている…
情報は絶対に外部には漏れない。」
「じゃあ、なんでお前は知ってるんだ?」
「マイク、さっき俺が奴に初めて会った時の話をしたよな…」
「あ、ああ。何処かの戦場で出くわしたんだろ?
けど、それとお前がナイトメアの情報を知ってる事と何の関係があるんだ?」
「あの時、俺の最優先任務は、ナイトメアの抹殺だったんだ。」
マイクとダニエルの顔が強張った。
「出撃前のブリーフィングで、俺はナイトメアについての簡単な情報を聴くことが出来た。その時に聴いた情報と、その後の俺の経験から解った事をこれから2人に教える。
…まず、大きな特徴として、ナイトメアは大抵何かしらに擬態して現れる。
それのどれが本当の奴の姿かは分からないが、確実に共通して言える事は、始めに奴が手にしているのはデカイ斬馬刀だと言う事…
それから奴は、戦う相手の武器をコピー出来る。」
「そ、それだ。」
「…!どーした、ダニエル?」
「俺達が始めに奴と対峙して間もなく奴の右手の斬馬刀が俺達の持っていたカービン銃に変形したんだ。」
ダニエルのこの言葉にマイクは真剣な顔をして言った。
「ニック、何だか現実味がない話だが…この状況を一番よく捉えられているのはお前みたいだ。俺はお前を信じる。ナイトメアについて、他に情報があったら教えてくれ…」
ニックはさらに続けた。
「まず、奴に出くわしたら出来る限り遠くへ逃げること。奴に銃は効かない。身体中が戦車の装甲みたいに固い。
それから、奴と目を合わせるのも駄目だ。
奴は人の心を読んで、その人物がその状況下で一番求めているものを幻覚として造り出す。その幻覚に嵌まってしまえば、待っているのは死のみだ…」
「マジかよ…
こりゃ想像以上の化け物だな。」
マイクは泣きそうな顔でそう言った。
「だとしたら……
隊長が危ない!」
ダニエルが何かを思い出したように叫んだ。
「隊長は奴と目を合わせたのか?」
ニックのこの問いにダニエルが答える。
「確か、隊長が奴と対峙した時に言ってたんだ…
『気に入らねぇ目付きしてやがる』って…
だから、もしかしたら…」
「わかった。ダニエル、隊長とはしばらく一緒に居たんだな?」
「ああ、だけど、この奥にある図書館みたいな場所ではぐれた…」
ニックがダニエルに手を差し伸べて、彼を立ち上がらせる。
「ダニエル、歩けるか?」
「ああ、大丈夫だ。
まだ少し、足が震えてるけど、お前らが来てくれて気が楽になったよ。」
「へっ…、俺もまたお前に会えて良かったぜ、ダニエル。」
「あ、ああ。マイク…気持ちはありがたいが…
俺はそっちの気は無いんだ…」
「何で毎回、どいつもこいつも、変な受け取り方するんだよっ!?」
3人は、ダニエルの案内のもと、彼が隊長とはぐれたと言う図書館を目指した。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話