何故か薄暗い電話ボックスにいた。
10円玉を入れてどこかに電話をしている自分。
呼び出し音を聞いているところで、ドアが開く音がして、
にゅーっと腕が伸び、私の首に巻き付いた。
もう片方の手は、私から受話器を奪うとフックに戻し、
それから生臭い息と共に低い男の声。
「騒ぐなよ」
腕はぐいぐいと首を絞め、声も出せない。
男の手は私のシャツのボタンにかかり、引きちぎるように服を剥がし……
私は強姦され、その後首を絞められ殺された。
体中汗びっしょりで目が覚めた。
ーー嫌な夢だった。
夜、サークルの帰り、同じ駅に向かう後輩と公園の前にさしかかった時、
彼氏に電話する約束を思い出した。
本当なら家に戻ってる時間だったけど、雑談が盛り上がって遅くなっていた。
携帯を取り出すと、充電切れだった。
後輩の携帯を借りようかと思ったけど、それも悪い。
ふと見回すと、公園の奥に電話ボックスの明かりが見えた。
「ちょっと電話してくるね」
そういって2、3歩公園の中に足を踏み入れて、思い出す。
今朝の夢。
見渡したが、公園内に人影はない。
「○くん、ごめん、怖いから一緒に来て?」
後輩は、はいはい、と笑いながら付いてきてくれた。
ドキドキしながら電話をかける。
彼氏が出た。
たわいもない会話。そしておやすみ、の挨拶。
何事もなく、電話は終わる。
「ありがと、待たせたね」
「いえ、いいですよ」
そういいながら電話ボックスを後にする。
すると、茂みの中に男が二人立っているのに気づいた。
一人は私の顔をまじまじと見ているようだった。
と、二人が口論しているのが聞こえた。
「夢なんか信じてバカじゃね?」
「いや、でもそっくりなんだよ!」
そう返した男の手にはビデオカメラが握られていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話