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中編5
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創作(S6)

The jadgement...

引き金を引いた。

ニックのM-4カービンがナイトメアに向かって5.56mm弾を連射する。

やはり、ナイトメアには銃弾によるダメージは期待できない様だ。弾は、カラン、カランと乾いた音を立てて図書館の床を転がる。

だか、一応、着弾の衝撃で、ナイトメアの動きを多少だが鈍らせる事は出来た。

「ダニエル!援護してくれ、」

「……何する気だ!?ニック!?」

「隊長の死体から増援を呼ぶ緊急無線を取ってくる!」

「おい、気は確かか!?

隊長の所に行くにはあの化け物の真横通らなきゃならないんだぞ!」

「マイク、お前もダニエルと一緒に俺を援護してくれ、」

「ったく、無理はするなよ!」

ニックはナイトメアの後ろで冷たくなったゲイルの緊急無線を取るために走った。

マイクとダニエルは必死にナイトメアの注意を引こうとしている。ナイトメアがその手に持った大きな鎌をニックめがけて振り降ろす。

ズゴンッ…

ナイトメアの振り降ろした鎌は図書館の床に深くくい込んだ。

「よし!」

ニックは素早くゲイルの亡骸から緊急無線を掴み取り、ナイトメアに注意を払いながら交信を始めた。

「…調査隊アルファ8から指令部、応答せよっ!!」

「こちらアルファコマンダー。

アルファ8、何があった?」

「現在ナイトメアと交戦中!

相手のヒューマンベースは不明!しかし、ナイトメアCとは違う様だ、至急援軍を要請する!!」

「アルファコマンダーよりアルファ8。申し出を承諾した。これより、最寄りの空軍基地からF-22戦闘機をスクランブルで送り込む。そちらへの到着予定は15分後。なお、戦闘機は対ナイトメア用焼夷弾を投下する。君達は戦闘機到着までにそこから出来る限り離れろ。」

「了解、援軍感謝する。」

ニックは無線を切るとそれを図書館の床に投げ捨て、マイク達の元へ戻った。

「ニック!?なんで無線を捨てた!?」

「あの無線には発信器が組み込まれている、援軍の戦闘機が目標を確認する為のな…」

「戦闘機!?空軍が援護に来るのか!?」

「ああ。さあ、2人とも出来る限り早くここを立ち去るぞ。」

「よかった!その言葉を待ってたぜニック。よし、ダニエル最後まで奴の気を引け!」

「なんだそりゃ!?

こんな時にふざけんな、お前が残れ!」

「マイク、ダニエル。バカな言い争いをしてる暇があったらさっさっと退却しろ!」

「悪かったよ、少しふざけただけだ…」

3人は一気に図書館の出口を駆け抜けると、人気の無い町の大通りをひた走った…

幸いにもナイトメアの移動速度は遅く、追い付かれる心配はなかった。

同時刻、3人がいる密林からおよそ100キロの地点を3機の黒いF-22が飛んでいた。

「こちらアイアンメイデン・リーダー。現在、目標地点、座標082へマッハ2の速度で巡航中。」

「こちら指令部。

アイアンメイデン各機に告ぐ、高度を1500フィートまで下げて密林上空ギリギリを飛べ。君達の機体に搭載されている圧縮熱弾頭(CHB)は攻撃範囲が狭い。投下の際にはギリギリまで投下地点に近付け、以上。」

「アイアンメイデン・リーダー了解、目標まで後3分。CHB投下のコールは『ゴッテス・オブ・ヘル(地獄の女神)』。以上、交信一時中止する。」

密林の中をひたすら走る。…3人は、既に町を出ていた。

「おい、ニック。一体何処まで走るつもりだ!?」

走り続けるニックにマイクが訪ねた。

「戦闘機が投下するCHBが届かない場所までだ。」

ダニエルがニックに訪ねる。

「CHBって何だ!?」

「Compression.Heat.Bomb.圧縮熱爆弾の事だ。2000℃の超高熱で辺りを灰にする兵器だ。」

「マジかよ!?んなとんでもねぇもんを投下すんのか!?まだここには人が3人居るんだぞ!」

「ニック、その爆弾の有効範囲は…?」

「投下地点から半径約1km。だが、正確には500℃程の余熱が発生し、それは投下地点から5kmまで届く。」

マイクがやや息を切らせながら言う。

「ニック、俺達…、

今…どの位走った!?」

「多分、4km位だ。もっと急がないと爆弾の余熱をくらうぞ…」

ニックのこの言葉にマイクとダニエルはさらに走るペースを上げた…

………………。

「こちらアイアンメイデン・リーダー。通信再開。指令部へ、目標とおもしき建物群を目視した。これより、攻撃体制に入る。」

「指令部了解、尚、CHB投下地点の近くには味方の調査隊がいる。難しいかも知れないが、彼等に弾頭の余熱が当たらないように可能な限り配慮してくれ…」

「アイアンメイデン・リーダー了解、可能な限り投下位置を絞り、低高度で投下、余熱の拡散を和らげる様にやってみる。」

「頼んだぞ…」

戦闘機の轟音が3人の頭上を駆け抜けた。

「うぉぉ!鼓膜が破れそうだ!」

マイクが走りながらも、あまりの轟音に、両手で耳を押さえた。

「来たな。」

ダニエルはやっと来た援軍の戦闘機を歓迎するかの様に言った。

「急げ、2人とも!

もう時間がない!!」

3人はさらに走るペースを上げる。

………………。

「アイアンメイデン・リーダーからメイデン隊各機へ。

これより、コール『ゴッテス・オブ・ヘル』を実行する。

コールがあったら各機高度を目標ギリギリまで下げ、弾頭の余熱拡散を出来る限り抑えろ。」

「メイデン2、了解。」

「メイデン3、了解。」

「目標座標は082!

コール開始、ゴッテス・オブ・ヘル、ゴッテス・オブ・ヘル!アイアンメイデン1、フォックス3、フォックス3、CHBリリース!!」

「メイデン2、リリース!」

「メイデン3、CHB、リリース!」

黒い断罪人達は、ナイトメアが3人を探してさ迷い続ける町に、断罪を敢行した。

瞬間、辺りに凄まじい白い閃光が走り、同時に町は跡形もなく消え去った。

もちろん、ナイトメアも…

「…スゲェ。」

「良かったな、マイク。もし、もう少し走るのが遅かったら、死んでたぞ。」

「おい、ダニエル。今はそんな事言うなよ。隊長とカーターは残念だったが、俺達はニックのお陰で生き残れた。

ありがとな、ニック…」

「気にするな。」

「あれ?何だよ、言わねぇのか?俺はその気はない、って?」

「………ふっ。」

そんなマイクのちょっかいにニックは軽く鼻で笑って見せた…

3人は、一路、密林の出口を目指す。

ナイトメアプロジェクト関係者各員へ、

今回、テストエリアC88に配備されていたナイトメアCが生物調査隊によって倒された。尚、その調査隊の中に、政府特務エージェントのニック・マディソンの姿を確認。

今後、ニック・マディソン海兵隊小佐には、より一層警戒せよ。以上。

尚、次のプロジェクトの候補地が決定したので、それについても別途地図をこのメールに同封した。

ナイトメアプロジェクトリーダー

ロバート・スミス

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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