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中編3
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先住者

大学時代のことです。僕はある運動系の部活に入っていましたがある日、その部室に行くと一つ上の先輩であるKさんがソファーで寝ていました。

その時は「ああ、疲れてるのかな?」と思いましたが、その後も毎回毎回寝ている姿を見るようになったので「夜中のバイトか何かでも始めたのかな」と思っていました。

そうこう考えているうちにKさんが目を覚ましたので

「こんにちは、最近お疲れのようですけどどうしたんですか?」 と軽い感じで尋ねてみました。

するとKさんは「ああ、最近部屋だとよく眠れないんでね……」とまだ眠そうな口調で言い、近況を教えてくれました。

Kさんは親元を離れ大学から程近いアパートにて一人暮らしをしていました。

しかし、住んでいたアパートが老朽化したために取り壊すことになり、先日違うアパートに移ったということでした。

そのアパートは立地条件も良いのに家賃が安く、Kさんは良い所を見つけられたと喜んでいたそうです。

しかし、入って少し経った頃から部屋の中でなにか人に見られているような感じがして振り返ることや何か物音がすることが度々起こったそうです。

Kさんは 「まだ、慣れてないから神経過敏にでもなってるのかな?」 と考えていたそうですが、寝ている最中に誰かに肩を触られたような感じがして目が覚めるというようなこともよくあり、睡眠不足気味だったそうです。

たいてい、そんな事が起これば眼も覚めますが、慣れと疲れもあり、その日は寝ている最中に2回ほど触られた気がしたけれど気のせいだと思い眠り続けたそうです。

そうしてまどろみの中にいる最中、Kさんは突然肩に強い衝撃を受け飛び起きるように目を覚ましたそうです。

感覚としては落下する夢を見た時のような感じだったので 「夢でも見て体が反応したのか」と思い、一度起きて水を飲みまたベッドに入りました。

そうしているうちにいつしか眠りこんでいたそうですが、またしても強い衝撃がKさんを襲い目を覚ますことになりました。

それは、背中を思い切り両腕で突き飛ばされる感覚だったそうです、そしてKさんは実際に真上に突き飛ばされ少し体は宙に浮きベッドに叩きつけられたそうです。

その時は恐怖を感じるよりも、背中を強く押されたことによる苦しさと訳のわからなさに混乱したそうです。

その後、部屋の明かりをつけ、現状を確認し怖くなりその日は近くのコンビニで夜を明かしたそうです。

その話を聞き、僕はいくらなんでもそんな馬鹿なと思いましたが、そんな様子が見て取れたのかKさんはそれ以上は語りませんでした。

しかし、その後、部活を終え汗を流すのにサークル会館のシャワーを浴びるときになりKさんの話が本当なのだと気付きました。

Kさんは気づいていなかったようですが、その背中には確かに両手分の手形のあざがついていました。

その後、しばらくしてからKさんに 「どうなりました?」 と聞いてみました。

Kさんは 「ああ、だいぶ落ち着いてきたよ、先住者は諦めたのか、俺にだいぶ慣れたかしたのかな」 たまに叩かれるけどねと苦笑しながら言いました。

Kさんは卒業までそのアパートに住み続けました。

安い物件にはそれなりの理由があるのかもしれません。

引っ越しの際にはご注意を。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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