これは私が数年前に体験した話です。
私は自分で作るトンカツが好きで、その日も最高の肉で最高の厚切りトンカツを作るべく、近所で肉質が良いと評判の肉屋へ向かった。
その店には初めて行ったのだが、特になんてことのない極々普通の肉屋だった。
ショーケースを覗くと、なる程、見るからに旨そうな黒豚ロース肉の塊が。
早速2㎝の厚さで二枚切ってもらった。
そして店員はその肉を肉パンチで叩いてから私に渡してくれた。
店を出ると、私は良い肉を手に入れることが出来た喜びで浮き足立っていた。
早く帰って早速調理したいとうずうずした。
手に提げた白いビニール袋、そこからわずかに見える瑞々しいピンク色の豚肉…と…何だか豚肉の表面に黒い粒々が無数についている?
その時、私は肉屋のまな板に前に切った焼き豚の焦げでも付いていて、それが付いてしまったんだろうとしか思わなかった。
だが、後々何だか気になってきて、まだ帰りの道中だったが袋からトレーを出してまじまじと見てみた。
するとそれは…
その全ての黒い粒々は…全長5㎜ほどのゴキブリの赤ちゃんだった。
肉パンチの刺の間にいたのだろうか…みんな肉にめり込んでいた。
そう、肉と一緒にパンチされていたのだ。
形を留めているものもあれば、粉々になっているもの、半身が肉にめり込んで奥までいってるものと様々。
もちろん返品しに店に引き返したが…あれ以来、肉は購入していない。
トラウマになったみたいだ。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話