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短編2
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ローリエ

長文です。

あれは忘れもしない…5年前の秋、私は当時付き合っていた彼女と今流行りなイタリアンレストランへ行った。

若い女の子に人気の店で、彼女にどうしても行ってみたいとせがまれ連れて行ったのだった。

店内は若い女の子やカップルでごった返していた。

その店の料理は、一品一品が結構な大皿で、出た料理をみんなでつつくというスタイルだった。

私たちは2人だけなので、そんなに数を頼めない。

そこで2品だけ、肉料理とチーズのクリームスープリゾットなるものを注文した。

料理が来た。

いかにも女の子が好きそうなお洒落な盛り付けと味付け。

なかなか美味しく頂いた。

食事も後半に差し掛かり、彼女の箸のペースも殆ど止まってしまった。

「私、もう食べられない。

○○くん残りのリゾット食べてくれる?」

「あぁ、いいよ。」

私は二つ返事で引き受けた。

「○○くん、取り皿に移すのも面倒でしょ?

そのまま食べちゃってよ。」

「あぁ。」

それまでに2人で結構食べたつもりでいたが、白い大きな深底のボール皿には、まだまだリゾットが残っていた。

仕方ない…食うか…そう思いながら、スプーンで底の米と上のクリームスープが混ざるように上下にかき混ぜた。

すると、

ゆらゆらプカリ…

乳白色のスープの底から、何やら黒い葉っぱのような物がゆっくり浮かんできた。

大きさ的にも私はローリエだと思った。

きっと調理師が使い終えたハーブを出し忘れたのだろうと。

しかし…その考えは甘かった…甘過ぎた…。

それは、立派なゴキブリだった。

しかも仰向けで浮いてきた。

それによって私は、知りたくない事実を知る事となる。

…そのゴキブリの腹部の外郭は、まるで蓋を取ったかのようにキレイに外れており、そこに納まっていたであろう中身は姿を消し、背中側の外郭の内側がこちらを覗いていた。

私はリバースしそうになるのを何とか耐え、店員を呼んだ。

店員は

「申し訳ございません。

気を付けてはいるのですが、入る時は入ってしまって…。」

私は唖然とした。

入る時は入るだと!?小さなゴキブリならわかるが、こんなクワガタみたいな奴がか!?

そして何よりも、ゴキブリの中身が溶け込んだスープリゾットを、何も気付かず食べていた自分に怖気が走った。

あまりのショックで、声を荒げて文句を言う事もせず、だが言う事は言い、半泣きの彼女を慰めながら店を出た。

店を出る時、飲食代を請求された。

その代金の内訳には、チャージにワインボトル…シャンパンボトル…肉料理…そして、しっかりとあのスープリゾットの代金が当然の様に含まれていた。

場所は言えない。

なぜなら、その店はいまだに営業しているからだ。

変わらぬ人気を博して…。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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