あるところに、いちばん綺麗なお姫様がおりました。
子供の頃から大人になるまで、いちばん綺麗なお姫様でした。
人間はもちろん、犬や猫や蝶、お姫様を見たものはみんなその美しさに魅了されました。
殿様はこぞって結婚を申し出ます。
「いちばん綺麗なお姫様、どうか私の妻になってください。あなたの望みは何でも叶えましょう。」
しかし、お姫様は決まってこう言うのでのす。
「いいえ。私の望みは一つだけですが、あなた様では決して叶えられません。」
そんなある日のことです。
とうとう神様までも、いちばん綺麗なお姫様に結婚を申し出たのです。
「いちばん綺麗なお姫様、どうか私の妻になってください。あなたの望みは何でも叶えましょう。」
お姫様はこう言いました。
「あなた様なら、私の望みを叶えてくれるでしょう。私の望みは一つだけですが、もしも叶えてくれるならあなた様の妻となりましょう。」
神様は喜びました。神様に叶えられない望みはありません。
「それでは、お姫様の望みは何ですか。」
いちばん綺麗なお姫様は言いました。
「私の姿を見るもの全ての眼球を取り出して、あなた様のお御足で踏み潰してください。今すぐです。私の目の前で、踏み潰してください。」
神様はすぐにその望みを叶えました。
「あなたの望みは叶えました。これで私の妻になってもらえますね。」
しかし、お姫様は首を横に振りました。
「いいえ。まだあなた様の眼球が残っております。」
神様はすぐに自分の眼球を取り出し、踏み潰しました。
「あなたの望みは叶えました。これで私の妻になってもらえますね。」
お姫様は言いました。
「はい。あなたの妻となりましょう。このようにいちばん醜い姫ですが、あなたの妻となりましょう。」
お姫様の望みは叶えられました。
こうして、いちばん醜いお姫様は誰にも見られることはなくなりました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話