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短編2
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病院で学んだこと

私が独身の時の実体験の話。

兄が医大に進み私は親に言われるがまま看護師を目指し病院の寮に入り見習い看護師として働いていました。

私の働いていた病院は結核病院。

3病棟あるそこそこの大きさの病院でした。

寮は病院の敷地内。

2階建てで2階は洗濯を干す場所。

寮生は1階で部屋が7つありました。

その隣は鉄柵がはりめぐらされた精神病院がありました。

重度の方がほとんどのその精神病院からは時折叫び声が聞こえました。

そんなわけで街からはかなり離れたいわゆる隔離状態。

毎日勉強と仕事でくたくたの私は寮に戻るとバタンキューという感じでナース服のまま倒れこむように寝ることもしばしばありました。

そんなある日のこと。。

私はとても疲れ仕事を終えご飯も食べずカーテンも閉めずナース服のまま寝てしまいました。

夜中ふと気配を感じ目を開けたのですが疲れで再び眠りそれからどのぐらい時間が経ったのか分かりませんがまた気配を感じ重たい瞼を開けました。

真っ暗な部屋の中窓から差し込む月あかり。

…なにか変。

部屋の中には下着を干す為小さなハンガーがかけてあるのですが揺れていました。

窓が閉まっているのに揺れている???

まだ寝呆けていた私は頭の中で考えていました。

「ヒヒヒ…」と笑い声が部屋の隅から聞こえてきました。

笑い声の聞こえた方を見ると人が体育座りのように背を丸め顔をうずめてます。

「ヒヒヒ…」

笑いをこらえるのに必死なようで背中が震えていました。

!!!

私は一気に目が覚めました。

恐怖にかられると叫び声が出ない。

まさにその状態でした。

金縛りにあったかのように全く動けない。

すると「ヒヒ…ヒ…」

ゆっくりと顔をあげたかと思うと立ち上がりハンガーを少し持ち手を離す。

それを見た途端また

「ヒヒヒ…」

口元を押さえ必死に笑いを押さえてる。

恐くて恐くて私は涙が止まりませんでした。

私が泣いていることに気がついたのかその人は私の顔と触れるぐらいの近さまで近づき

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

何度も繰り返し

窓から出ていきました。

それから30分ほど経ったでしょうか。

やっと身体が動き隣の部屋の友達に泣きながら話をし病院の管理者に来てもらいました。

それから1ヶ月ほど経ち街まで出ようとバス停に向う途中ふと隣の精神病院を見ると職員さんが出てきました。

考えごとをしながら歩いてた私は鉄柵をガシッと掴む音にびっくり。

反射的に見た職員さんの顔。

それは月あかりに照らされた彼の顔でした。

怖い話投稿:ホラーテラー じゅりさん  

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