これは、私が祖母と暮らしていた、10年ほど前の話です。
当時、祖母はアパート経営をしており、造りは一階が祖母宅(私も同居)。二階がアパートで4部屋を賃貸にしていました。
ある夜、祖母と晩御飯を食べていると、インターフォンが鳴り、出てみると204号室の女性でした。
彼女はドアが開くなり挨拶もそこそこに、祖母に相談があると、言ってきたので、居間に通して話を聞くことにしました。
彼女は非常に言いにくそうに、「頭が変だと思われるかもしれませんが、誰かに見られている気がするんです」と話し出しました。
聞けば、部屋にいると突然誰かの視線を感じ、とても落ち着かなくなるということが、最近頻繁にあるとのこと。
勿論部屋には自分一人だから、誰も居るはず無いと解っている。
けど、視線を感じる。
眠れない日が続いているため、せめて調べてもらって安心したいと。
彼女は、泣きながら祖母に訴えていました。
その様子から、真剣な思いを感じ、とりあえず息子(私にとって父)を呼んで見てもらおうということになりました。
その時は、私含め女三人だったので、用心の意味がありました。
程なくして、父がやって来て、問題の部屋を検証することになりました。
204号室の部屋をざっと見て回りましたが、特に覗ける様なところはなく、窓も人が覗ける構造にはないため、頭を悩ませました。
すると父が、天袋が気になると言い出し、開けてみましたが、これも異常なし。
うーん、と考えた父は、何気なく天袋から天井板を外しました。
…。
そこには、調度人が這ったような埃の後が、延々と204号室まで続いていました。
その場にいた全員、唖然。
懐中電灯片手に、その埃の後を辿ると、それは201号室から来ていました。
201号室の住人は、自称デザイナーと名乗る男性。
その時男性は不在で、祖母と父は警察に届け出ました。
その後、しょっ引かれた男はどうなったか知りませんが、調べによると屋根裏の節穴から、ちょくちょく彼女を覗き見てたらしいです。
後日祖母から聞いた話ですが、201号室の男性の部屋に入った時、天井の枠の所に、楊枝に無数の凧糸をくくりつけたものが、ビッシリと刺さっていて、簾の様になっていたそうです。
何かのマジナイの様だったと。
他にもお札が貼られており、気持ち悪かったそうです。
古い造りのアパートにはご用心ください。
現在、アパートは取り壊し、無くなっています。
怖い話投稿:ホラーテラー 都民さん
作者怖話