まだ若い頃に居酒屋でアルバイトをしていました。
そこは個室を3つとカウンターが6席の小さな店でした。
夕方4時に出勤して、掃除やら開店準備をして、有線をつけるのです。
いつもの演歌…がかからないんです。
故障…?
なんて店長と調べていると、
「あぁぁぁぁ」…………
低い男の声が聞こえた気がしたんです。
店長と私は…無言で有線の機械を見つめました。
電源…Offになっていました。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
やっぱり気のせいじゃない。
店長はガタガタ震えて、腰を抜かしていました。
私も驚いて…その場で固まっていました。
奥の座敷でガン!と大きな音がします。
腰を抜かした店長が
「み…見てきて!!」
と言うので、仕方なく座敷へ向かいました。
襖が何故か外れて倒れているのが見えます。
恐る恐る…座敷の中を覗いてみました。
真っ黒い影の塊がフワフワ浮いてるんです。
小さな黒い虫の大群みたいな感じでした。
私がソレから目が話せないでいると…
ソレは形を変えて、目だけが鈍い黄色っぽい色で浮き出ました。
目玉みたいなのが、ギョロギョロ動いて…黒い塊の中を動き廻っているのです。
私は怖すぎて、店から逃げました。
店長は先に出てしまっていたらしく、店の外で立ち尽くしてます。
もう1人の従業員が来た事で少し落ち着いて、3人揃って店に入りました。
その時には、有線もいつもの演歌になってました。
電源Offだったハズなのに…
奥の座敷は倒れた襖だけが残って、あの塊は消えてました。
店長も私も脱力感いっぱいで営業をしましたが、何も起こらずに無事に帰宅しました。
姉に話したら、
「通りすがりのヤツがいたずらしたんじゃない?」
なんて一言だけで…
変なモノが憑いてなくて安心しましたが…怖かったです。
また何か思い出したら、投稿させていただきます。
怖い話投稿:ホラーテラー 坂道さん
作者怖話