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短編2
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漁港での出来事

大学時代の先輩から聞いた話です。

私が卒業した大学はなかなか大きく、一年東京で基礎教養をした後、学部ごとに 別々のキャンパスに分かれるシステムでした。

(私が卒業した学部は ある北国の海沿いにあり、釣り好きな私にはもってこいな場所でした。)

先輩はある夏の夜、仲のよい友人2人と心霊スポットと言われてている小さな港に肝試しに行くことになりました。

深い森を通り過ぎ、その港に着いたときはすでに深夜。

車を降りた先輩たちは早速周りを散策し始めました。

潰れた漁師小屋、崖に供えられた鳥居…まさにいかにもな場所だったそうです。

するとそのとき、先輩はあるものに気付きました。

「なぁ、あれって何だ?」

先輩の指差すほうに目を向けた友人たち…彼らもまた妙なものを目にしました。

それは、漁港の隅のほう…それも陸上ではなく海の中から見えるぼんやりとした灯りだったそうです。

突然飛び込んできた得体のしれない光に口を閉ざす先輩たち。すると友人のひとりが「俺が行って確かめてきてやる!」と1人でずんずんとその光の方向に歩いて行ってしまいました。

本当は止めたい、しかし先輩もその光の正体が何か気になって仕方なかったそうです。

そして友人が歩いて行ってしばらくしたそのときでした!

『ぎゃぁああああああああああああッ!!』

という絶叫が突然木霊したのです。その声の主は、先程1人で歩いて行った友人のものでした。

半ばパニックを起こしうろたえている先輩たち…

するとそこへ暗闇の中から友人が必死に走ってくるではありませんか。

友人の無事に安堵の表情を浮かべる先輩でしたが、友人は尚も必死の形相で叫びました。

「逃げろぉおおおお!殺されるぞぉおおおおおおおッ!!」

何事かと思い友人の後ろを見た先輩…

するとそこには……

怒号を上げながら走ってくるガタイのよい真っ赤なアロハシャツの中年男。その 右手には銀色に輝く何か…

どう見てもその筋の方です。本当にありがとうございました。

「うっぎょえぇぇぇええええええ!!」

先輩たちもまた悲鳴を上げながら必死に走り、何とか車に辿り着くと一目散に港から逃げ出したそうです。

先輩が後から聞いた話だと、その港はアワビがよく穫れ、ヤクザが頻繁に密漁にきて年間100万円以上の被害があるそうで、あの光も密漁によるもののようでした。

いやしかし…ヘタな幽霊よかよっぽど怖い話だなと思いましたね、はい。

怖い話投稿:ホラーテラー うなぎさん  

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