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短編2
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双子の兄

俺には双子の兄がいる。

一卵性なので顔は似ている、というかまさに瓜二つなのだが、簡単に言えば俺は体育会系、兄は文化系なので性格や体つきはかなり違う。

そして、一番俺と違う所はといえば・・・兄はいわゆる〈見える人〉なのだ。

兄の不可解な行動は一緒に暮らしている家族にとって常に悩みの種だった。

まだ幼い頃、親戚の者が遊びに来ても部屋から出て来ない事がよくあったらしい。

親が呼びに行っても

「あのおばさん、怖いから嫌だ」

などと言っては親を困らせていたそうだ。

傍目から見たらとても優しそうな人なのに、と母は苦笑する。

そんな兄が小学1年の時、彼のことを信じざるを得ないようなことが起こる。

母親が妊娠しているのを言い当てたのだ。

なんと当の母親さえ知らなかったのに。

その日は朝からどしゃ降りで学校へは母親の軽で行くことになっていた。

しかし、例によって兄は朝っぱらから訳の分らぬだだをこねていた。

「道が川になる!」

俺は覚えていないが、母親いわく、いつも以上に頑固で手に負えない状態だったらしい。

ただ、さすがに兄と一番接している母親、その頃には兄の話がまんざら出鱈目でもないと薄々感じていたそうだ。

(おかしな事を言う)と思われるのを承知で、近所の家に電話を掛けまくった。

もちろん子供がそんな事を話した、なんて言わない。

母親本人が見た夢として電話したという。

母親の迫力が功を奏したのか、電話を受けた者全員がその、突拍子もない話を信じた。

山が崩れ、大量の土砂が道路ごと崖下の河川に流されたのはまさに学校に向かう車が一番通る時間帯だったという。

近所の者はいまだに母親に感謝している。俺たちと同級だったTの実家はその頃から八百屋をしているのだが、現在も母親からは一切金を受け取らない。

驚く事に兄はその事を全く覚えていないという。

しかしもちろん、その日のことを母親は忘れてはいない。忘れられるわけがない。

兄はその時こう言ったのだそうだ。

「お母さんのお腹の中にいる女の子が、学校に行ったら川に流されて死ぬと言って泣いている」と。

妹は現在中学3年生。名前は兄の名の一文字をとって良美。とっても可愛い。

余談だが・・・霊感ではないかもしれないが、俺にも予知能力らしいものはあった。

中学、高校と野球部に所属していたのだが、球種が読めたのだ。

次はカーブ。

次はまっすぐ。

球筋まではっきり見える事があった。

それでも、、、、打てなかった。

(通算打率2割8分)

今初めて白状する。

くやし~(笑)

兄の話は他にもまだたくさんある。また暇があったら投稿しようと思う。

怖い話投稿:ホラーテラー 双子の弟さん  

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