ある日、今日夜子供の面倒をみてほしいと、姉から連絡があった。
場所は実家。父は小さい子の世話なんかできないし、むしろ父の世話もお願いしたいとのことで、私は承諾した。姉は母と出掛けてくるらしい。
私自身に霊感の類はないが、オカルト好きな私。テレビやサイト、映画は好んで見ている。その日も見たいテレビがあった。子供向けの有名ホラー特番。
姪の遊び相手をしながら、テレビを見る。さして怖くはない。まあ、子供向けだからしかたがないか、と眺めていた。
きゃっきゃっと遊んでいた姪が静かになったので見てみると、ジーと何か一点を見つめているようだ。
はじめはテレビかな?と思い、あまりテレビを近くで見ないように、テレビから距離をとり、抱えてだっこする形で二人で観賞していた。
あまりにも真剣に見ている。私は、何がそんなに気に入ったのか不思議に思いながらも「まばたきまばたきぱちぱちして」と、まばたきを促そうと姪の顔を覗きこむ。
すると、視線はテレビではないことに気が付いた。
テレビの後ろ。ベランダに続く窓。窓はあき、編み戸になっている。
突然、姪が泣き出した。
あやしても、なだめても泣き止む気配もなく、わんわん泣き、しかし視線は窓から離さない。目を見開いて、泣いている。
次第に尋常ではない位に大声になり、身体も痙攣しはじめた。
具合が悪い感じでもなかったのにどうしたのかと、原因を考えつつ、父と車で救急病院へ行くことに。
車に乗せると、次第に落ち着き、痙攣もとまった。姉に電話し事情を説明するも、姉にも心当たりはないという。念のため、診察を受けるも、熱もないし、異常は見つからず帰宅することに。その頃には、お菓子をせがむほどに姪は元気だった。
家につき、姪と廊下を歩き、テレビのあるリビングに入ると、また姪は泣き出してしまった。
私の足にしがみつき、今度を顔をふせ、目をつむり、泣いている。
私はだっこして、あやしながら、理由を尋ねるも、何も教えてくれない。
どうしたもんかと、思っているとベランダの窓が開けっ放しのままになっていたので、姪をかかえながら施錠しに行く。すると、姪が「じじいなくなっちゃった」と言う。涙もとまり、きょとんとしながらベランダを覗いている。
「じじ?じじはもうねてるよ。じじいなくなっちゃったと思った?」
「ちがう。じじじゃなくて、いっぱいじじとばばがここにいた」
はて。話がみえない。
姪の話を辛抱強くきくと、姪が泣いていた理由を話してくれた。
私とテレビを見てると、ベランダにおじさんとおばさんが沢山いたそうだ。
最初は何してるんだろう?と見ていたらしいのだが、次第に一人づつこちらを見はじめ、全員が姪の方を見るころには、ゆっくりと部屋に入ってきたという。
それがとても怖くて泣いていたらしい。
帰ってきて泣いていたのは思い出したからで、今はじじとばばはいなくなっているとのこと。
もちろん私にはそのように記憶はない。お約束のようにここは2階。
姉が帰宅し、事情を報告すると、困ったように「またか」とつぶやいた。どうやらこういった不可思議なことが結構あるらしい。
一人で楽しそうに会話してたり、いきなり「くるなあ!」と叫びだしたり。おやつのお皿を自分ともう一個用意したり。
子供には見えるという話はよくあるが、本当かもしれないと思った事件。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話